「キミ、身長止まったでしょ？」伸び盛りの高校生が受けた残酷な宣告…“158cm”のゴルファー比嘉一貴（27）が賞金王を目指す理由

「余命いくばくもない」とまでは言わないまでも、伸び盛りの高校生にはそれにすら近い絶望感を覚える宣告だった。

　あの日、ふと足を踏み入れた病院で医師が発した言葉を、彼は忘れてはいない――。

ツアーの公式登録では「158cm」

　2022年の日本男子ツアーは若手、中堅の日本人選手が春先からとっても元気。中でも20代のプロの活躍が目立つ。そして彼らを少々雑にラベリングするとすれば、もうひとつ別の特徴がある。

　優勝者の多くが身長だけで言えば体格的に恵まれていない。国内初戦の東建ホームメイトカップを勝った165cmの香妻陣一朗に始まり、桂川有人（167cm）、稲森佑貴（169cm）、今平周吾（165cm）、池村寛世（166cm）といった170cmに満たない面々が立て続けに勝利を手にしている。

　中でも一際、低いのが27歳の比嘉一貴。4月の関西オープンでシーズン1勝目を挙げると、向こう5年間の長期シードがかかる6月の国内メジャー、BMW日本ゴルフツアー選手権森ビル杯で2勝目を挙げた。

　ツアーの公式登録では、158cm。そしてこの比嘉こそが6月中旬まで賞金レースのトップを走っている。

2020年ソニーオープンinハワイ　©Getty Images

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　1995年4月、沖縄・うるま市で生まれた比嘉は幼い頃ハンドボールに熱中した。転機が訪れたのは10歳。小学校の行事の後の、振替休日のことだった。その日はハンドボールの練習もオフで、サラリーマンの父に連れられ近くのゴルフ場に遊びに行った。「カートで見てなよ」とセルフプレーに付き合い、1ホール目こそ見学していたのだが、2番ホールで「僕も」と打たせてもらった。

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