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プロゴルファー石川遼が高校卒業。
いったいどんな高校生活だったの? 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/03/22 08:00

プロゴルファー石川遼が高校卒業。いったいどんな高校生活だったの?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

2007年6月に関東高等学校ゴルフ選手権東京都大会予選に団体で出場した石川遼。(写真右から)田尻啓、伊山祐介、桜井勝之らと共に杉並学院が団体優勝。この大会では、石川個人は2位となっていた

 3年1組の教室の前はサインや記念写真を欲しがる生徒たちでごった返していた。

 無理もない。同じ学校に通っていようとも、彼の姿を学校で見かけることはこの1年間ほとんどなかったのだから。

 実際に会うことよりもテレビで見かける回数のほうが圧倒的に多い人物。つまり彼は同じ学校の生徒というよりも、高校生が熱を上げやすい「有名人」というわけだ。

 教師にダメだぞとたしなめられ、ラストチャンスを逃した生徒たちは少し口をとがらせた。教室の中には、クラスメートたちとの別れをたっぷりと時間をかけて惜しむ石川遼の姿があった。

 3月8日、石川は杉並学院高の卒業式に出席した。式が終わってからも約2時間も教室にとどまり、最後は校長先生にあいさつをしてから校舎を後にした。入学する時に考えていたよりも通う回数ははるかに少なくなってしまったが、愛着はたっぷりとある学校で過ごした高校生活最後の1日だった。

「本当にたくさん迷惑をかけましたし、この3年間お世話になった学校には感謝したいなと思います。高校の先生方や同級生のみんなにありがとうと伝えるためにもコースでいいプレーがしたい。また一層、自分自身も頑張れると思います」

多忙を極める若き賞金王を学校側は全面サポート。

 1年生の春にツアー初優勝を飾り、学校一の有名人になった。「全然人気者じゃないですよ。教室をのぞきにきて“あっ、いるいる”みたいな感じです」。まるで動物園みたいだと笑っていたのどかな学生生活の風景。それも2年生に上がる前にプロ転向すると少しずつ失われていった。

 3年生になるとツアーはもちろんとしてCM撮影やイベント出演などプロとしての活動も多忙を極めた。友人に教わりながら微分積分や関数に頭を悩ますこともできなくなった。史上最年少の賞金王に輝くほどの活躍を見せた代わりに、普段通りに学校に通う機会はほとんどなかった。

 そんな石川をバックアップするために、学校側は集中講義やレポート提出で単位を認めるなどサポート態勢を整えた。

 文科省が定める高校卒業必要単位は74単位。杉並学院はもう少し多いというが、石川は同級生たちが作ってくれた授業日誌などを参考にしながら2年生までに65単位を取得できたという。

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