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全米オープン開幕前の会見でなぜ怒声が……“サービス精神あふれるナイスガイ”が残した汚点《ゴルフ界を分断する新ツアー騒動》
posted2022/06/16 17:00
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Getty Images
いよいよ今週は全米オープンが開幕する。その舞台、米マサチューセッツ州のザ・カントリークラブで13日(米国時間)、フィル・ミケルソンが会見に臨んだ。
ミケルソンにとって全米オープン優勝は、プロ入り以前からの夢だ。
「アメリカのナショナル・チャンピオンを決める全米オープンで勝つことは究極の夢」
何度も何度も優勝争いに絡み、勝利を掴みかけたこともあった。しかし、ミケルソンはいつも惜敗に終わり、究極の夢は、いまなお達成されていない。
すでにマスターズ3勝、全米プロ2勝、全英オープン1勝を挙げているミケルソンが今大会で優勝したら、生涯グランドスラム達成となる。本来なら、それは全米オープンの最大の注目を集めるはずである。
しかし、会見では、グランドスラムに関する質問も、全米オープンに関する質問もまるで出てこない。
ミケルソンになぜ厳しい質問が飛び交ったのか
長年、ミケルソンの会見と言えば、彼独特のユーモラスな返答に沸き返り、穏やかなムードに包まれることが多かった。
しかし、この日は誰の表情も厳しく、質問というより詰問という雰囲気。返答していたミケルソンの表情も険しいものだった。
会見終盤、こんな質問が出た。
「おそらく、もう2度と自分はPGAツアーで戦えないと思ったとき、それでもアナタは平気なのですか?」
ミケルソンは、こう答えた。
「PGAツアーが僕に授けてくれたたくさんの思い出や機会、経験、友情、絆は、僕の心に生涯残る」
ミケルソンのその返答を受けて、ある米メディアのベテラン記者はこう記していた。
「その通り、ミケルソンの良き思い出は生涯残る。だが、ミケルソンの汚点も生涯残る」
なぜ、全米オープンでの会見がトゲトゲしいムードに包まれたのか。なぜ、ミケルソンが「もう2度とPGAツアーで戦えないとしたら」と問われていたのか。
話が見えない方々のために、ちょっと解説を加えよう。