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「市場価値171億円に高騰」レアルが狙うMVPドリブラー、いぶし銀化した「右サイドの暴れん坊」って誰?〈識者が選ぶセリエAベスト11〉 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byClaudio Villa/Getty Images

posted2022/06/09 17:01

「市場価値171億円に高騰」レアルが狙うMVPドリブラー、いぶし銀化した「右サイドの暴れん坊」って誰?〈識者が選ぶセリエAベスト11〉<Number Web> photograph by Claudio Villa/Getty Images

ミラン優勝で大喜びの(左から)ラファエル・レオン、ブラヒム・ディアス、テオ・エルナンデス

 一躍スターダムにのし上がったレオンは、FWムバッペ(パリSG)獲得に失敗したレアル・マドリーの獲得目標に。市場評価額は1億2000万ユーロ(日本円にして171億6100万円!)とされるが、ミランTDマルディーニは徹底的にレオン流出を防ぎたい構えで、今オフの契約更新交渉に注目したい。

ケシエの「トップ下コンバート事件」は英断だった

 トップ下のケシエ選出には異論が多いかもしれない。本職のトレクァルティスタならMFチャルハノール(インテル)やMFムヒタリアン(ローマ)など他に有力候補がいるし、終盤には2列目中央に同僚MFクルニッチが入る機会も多かった。

 だが、後世に今シーズンを振り返るとき、19節エンポリ戦でフィジカル・ファイター型のケシエがトップ下へコンバートされた事件は、優勝したミランの戦術的ターニングポイントとして記憶されるべきだ。苦しい時期にタイトル戦線へ踏みとどまらせた英断だった。

 契約延長を拒み、移籍金を残すことなく退団が確定したケシエは、ファンから厳しい批判に晒された。しかし、「優勝を置土産に」と誓った彼はプロとして最後まで全力を尽くし、終盤の6連勝に貢献。3-0で勝った最終節サッスオーロ戦でダメ押し弾を決めた後、惜別の敬礼をゴール裏スタンドに捧げ、ミラニスタたちを感涙させた。

 右サイドの暴れん坊だったベラルディには、27歳ながら“いぶし銀”の匂いが漂い始めている。

 アシスト王(13本)になった今季は、15ゴールも決めキャリア3度目の“ダブル”達成。キーパス成功は68本を数え、年々プレーの質が向上し続けている。ムラッ気がなくなった秘訣は、昨季まで薫陶を受けた前監督デゼルビの影響と、一昨年の年末に父親になった自覚だろう。

4度目の得点王インモービレがもっと評価されるべきワケ

 1トップには、得点王とリーグ最優秀FW表彰を受けたインモービレ(ラツィオ)を選んだ。

 4度目の得点王獲得は史上最多。リーグ1位の枠内シュート59本をはじめ、とにかくプレーの質が高い。どうしてもW杯を逃したイタリア代表での不振が頭にちらついてしまうが、監督が変わろうが戦術が代わろうが、ゴールを量産し続けるなのだから文句のつけようがない。

 プレー解析のデジタル化が進んだ現代では、オフ・ザ・ボールの動きだけでなく「囲まれた状況下でのパス成功率」「1対1からの有効展開率」といった詳細な条件ごとの成績が数値化されるようになった。インモービレはあらためて高評価されるべきFWだ。

【次ページ】 指揮官ピオリが象徴する「セリエAの潮流」とは

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