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「市場価値171億円に高騰」レアルが狙うMVPドリブラー、いぶし銀化した「右サイドの暴れん坊」って誰?〈識者が選ぶセリエAベスト11〉
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byClaudio Villa/Getty Images
posted2022/06/09 17:01
ミラン優勝で大喜びの(左から)ラファエル・レオン、ブラヒム・ディアス、テオ・エルナンデス
達人キエッリーニ(ユベントス)が去るセリエAでは、トリノのブレーメルが新たにリーグ最強DFの称号を得た。
ボール奪取466回(リーグ1位)にクリア数199回(同1位)、インターセプトは117回(同2位)で空中戦勝利数も154回(同3位)と、イタリア流対人守備の極意を完全につかんだ。能力が高い上に25歳と若く、今夏移籍市場の人気銘柄になることは必至で、すでにインテル等が熱視線を送っている。
右サイドには、ウディネーゼの“掘り出し物”モリーナを置く。
アルゼンチン代表として昨夏のコパ・アメリカで優勝後、2年目の今季はDF離れしたシュート力で7ゴール(+2アシスト)を奪い、異能の超攻撃型サイドバックとして一気にブレイク。後半アディショナルタイムまで衰えないスタミナも魅力で、クラブの先輩にあたるDFクアドラドの後継者としてユーベ移籍が濃厚とされる。
中盤は「バルカン半島超人コンビ」に任せたい
中盤は、1試合あたり平均走行距離1位(11737m)MFブロゾビッチ(インテル)と2位(11664m)ミリンコビッチ・サビッチ(ラツィオ)のバルカン半島超人コンビに任せたい。
チームは連覇を逃したが今季も走行距離キングの座を守った鉄人ブロゾビッチは、基点として攻守長短のパスを操った。いかにインテルの選手層が厚くとも彼の代役だけはいない。
ミリンコビッチは通算52回も作り出したチーム決定機から、11ゴール&10アシストをもたらした。
運動量オバケの2人はいずれも類まれなテクニックと戦術眼を兼ね備え、剛と柔、フィジカル勝負も戦術的ハメ技もどんと来いだ。敵に回せば厄介この上ないが、味方にすればこれほど頼もしい男たちはいない。
2列目には左からレオン、ケシエ(ともにミラン)、ベラルディ(サッスオーロ)を並べた。
市場価値171億円のドリブラーに成り上がったMVPレオン
今季のリーグMVPを受賞したレオンは、チーム3年目にしてセリエA最強のドリブル・アタッカーに成長した。誰より早くトップスピードに到達し、するすると左サイドを抜いていく。1対1の強さを生かしたドリブル成功数(106回)が示すように、守る側はわかっていても止められない。11ゴール&10アシストと爆発し、名門復活の立役者となった。