Jをめぐる冒険BACK NUMBER
パリ世代10番は「カタールW杯を狙ってます」「辛いとき頼られる存在に」 斉藤光毅20歳の覚悟に「おや?」と思った瞬間〈久保建英と同世代〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTatsu Ikeda
posted2022/06/05 11:06
U23アジアカップで10番を背負う斉藤光毅。日の丸への野心は彼をどう成長させるか
このとき、夢フィールドには久保の姿もあった。かたやカタールW杯に向かうA代表の親善試合前の調整、かたやパリ五輪を目指す五輪代表が国際大会に臨むため調整――。さぞ強烈な刺激を受けたに違いない。
以前、雑誌のインタビューで斉藤はこんなふうに語っていた。
《個人名をあんまり言いたくないんですけど、久保建英なんて、どんどん上のレベルに行っています。ここで満足していたら、彼には絶対に追いつけない》
かつて五輪代表チームは「五輪経由A代表行き」がスローガンだったが、大岩監督が選手たちに求めているのは、「A代表経由五輪行き」である。A代表に選ばれるような選手が五輪に出場するというわけだ。
目指すは4年後ではなく、半年後のカタールW杯
もっとも、斉藤の視線はさらにその上を向いている。
目指すは4年後のカナダ・メキシコ・アメリカW杯ではなく、半年後のカタールW杯――。
「常に狙っています。そうやって自分が思い続けることによって、U-21の選手たちに波及していくと思う。だから、そういう言動を常に見せるというか、それに相応しいようなプレーをしないといけない。本当にW杯を意識しながらやっていきます」
だからこそ、こんなところで落ち込んでいる暇はないのだ。
ベルギーでプレーしているとはいえ、まだ20歳。経験面では積み上げなければならないことは少なくない。
「もっとコンディションを良くすることはしないといけない。自分なりに最大の持っていき方をしたつもりだったけど、悔しい思いをしたので、この経験は忘れないと思う。次に生かさないと意味がないので、しっかりやっていきたい」
ドバイカップで3試合すべてに先発したのは斉藤ただひとりと、大岩監督の信頼は厚い。UAE戦での先発と途中交代も、コンディションや試合勘を取り戻させるためだろう。
暑さの中で続くサウジアラビア戦、タジキスタン戦で、コンディションや試合勘をしっかりと上げられるかどうか。エースの意地と覚悟が問われるゲームとなる。
ドリブルで守備網を切り裂き、ゴールに迫る本来のプレーを取り戻したとき、トレードマークでもある愛くるしい笑顔も取り戻せるはずだ。
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