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パリ世代10番は「カタールW杯を狙ってます」「辛いとき頼られる存在に」 斉藤光毅20歳の覚悟に「おや?」と思った瞬間〈久保建英と同世代〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTatsu Ikeda
posted2022/06/05 11:06
U23アジアカップで10番を背負う斉藤光毅。日の丸への野心は彼をどう成長させるか
本人も言うように、落ち込んでいる暇はない。U-23サウジアラビア代表との第2戦は6月6日に迫っている。相手はU-23タジキスタン代表を5-0で一蹴した今大会の優勝候補。攻撃の軸である斉藤に復調してもらわなければ困るのだ。
そして何より斉藤自身が、今大会に並々ならぬ決意で挑んでいる。
「自分のキャリアにとって大事な大会にしたいので、気持ちは入っています。アジアを獲りたいし、できるだけ多く結果を残したいと思っています。辛いときに頼られる存在、チームの幹のような存在になりたいし、毎試合点を取れるようなプレーヤーにならないといけない。そういう気持ちで練習に臨みながら、チームの雰囲気作りやモチベーション作りをしっかりやっていきたい」
その力強い言葉を聞いて、おや? と思わずにはいられなかった。
「早く海外に行ったからといって何も変わらない」
U-21日本代表の初陣となった3月のドバイカップでは「自分は気負いすぎるとあまり良くないので、楽しみながらプレーするのが大前提。楽しみながら自分のプレーがしっかりできれば、結果は自然と付いてくると信じています」と話していたからだ。
3カ月の間に、どんな心境の変化があったのか――。
斉藤を駆り立てているもののひとつが、危機感かもしれない。
2シーズン目を迎えたロンメルでは負傷離脱した時期を除いてコンスタントに出場したが、5得点2アシストの結果は決して満足できるものではない。
ドバイカップでも1ゴールをマークし、全3試合に先発出場したが、「全然足りない」と悔しさをのぞかせ、「Jリーグで点を取っている選手、活躍している選手を見ると刺激を受けるし、危機感も芽生える。早く海外に行ったからといって何も変わらない。もっと成長しないといけないと常に思っている」と胸の内を明かした。
5月29日の夢フィールドで、斉藤がその危機感をさらに掘り下げる。
「本当にいろいろなものがあって。やっぱりA代表にはヨーロッパのトップレベルで活躍している選手がいるので、自分も早くそういうステージに立たないといけないという危機感がある。A代表の選手の話を聞いたり、プレーを見たりすると危機感を感じるし、同世代の選手たちが結果を残しているのを見ると、もっともっとやらなきゃいけないという危機感が芽生える。そういうものが自分の向上心につながっていると思います」
同世代の久保建英は意識する存在のはず
名前を出すことはなかったが、同世代で意識する選手のひとりが久保建英だろう。同い年の久保は飛び級で17年U-20W杯に出場し、19年夏にレアル・マドリーと契約を結び、飛び級で東京五輪にも参加。すでにA代表の一員となっている。