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パリ世代10番は「カタールW杯を狙ってます」「辛いとき頼られる存在に」 斉藤光毅20歳の覚悟に「おや?」と思った瞬間〈久保建英と同世代〉
posted2022/06/05 11:06
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Tatsu Ikeda
タシケントのパフタコール・スタジアムは18時からの熱戦を終え、涼しい風が吹いていた。簡易照明とともに外に設けられたミックスゾーンにU-21日本代表の選手たちが次々とやって来る。
ウズベキスタンで開催されているU23アジアカップ2022。大会初戦で難敵・U-23UAE代表に2-1の劇的勝利を収めただけに、マスク越しにも選手たちの表情の柔らかさが伝わってくる。
ただひとりの選手を除いては――。
ハーフタイムでの途中交代は「当然だと思います」
悔しさを滲ませていたのは、このチームの10番を背負う20歳の斉藤光毅である。ベルギー2部のロンメルに所属するアタッカーは、0-0で迎えたハーフタイムに途中交代を命じられていた。
「自分のプレーもあまり良くなかったので、交代は当然だと思います。(監督の)大岩(剛)さんからは『カードをもらっているし、コンディション面も』と言われました。そうだとしても、自分としてはダメだったから交代したと受け止めている。そう受け止めたほうが自分のためになる。しっかりと自分に目を向けたい」
欧州でのシーズンを終えて日本に帰国し、束の間のオフを挟んですぐに国際大会に出場する――。21年1月に海を渡った斉藤にとっては初めての経験だ。
それゆえ、ウズベキスタンに出発する当日の5月29日、千葉県・幕張のJFA夢フィールドで最終調整を終えたあと、コンディションについてこんなふうに語っていた。
「いろんな人に聞いて、いろいろと試している状況。自分はベタ休みせずに体を動かしながら、(大会が)近づいてきたらどんどん練習に入っていくというやり方でやっています。それがいいのかどうか分からないけれど、経験という意味でも大きいと思うし、シーズン中よりもいい状態に持っていけるようにしたい」
斉藤の“ある言葉”に「おや?」と思った
迎えた6月3日の大会初戦。4-3-3の左ウイングに入った斉藤だったが、前半はチームがやや劣勢だったこともあり、得意のドリブルによる仕掛けは影を潜め、シュートチャンスを引き寄せられなかった。反省しきりといった様子で斉藤が振り返る。
「今日は自分のプレーを1回も出せなかったので、何回も出せるように準備をしないと。正直、落ち込んでいるので、メンタリティを持ち直さないといけない」