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ブラジル指揮官には「日本代表監督就任オファー」があった? 取材記者が知る「親日家の名将チッチ」〈ネイマールも涙した人間力〉 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2022/06/04 17:01

ブラジル指揮官には「日本代表監督就任オファー」があった? 取材記者が知る「親日家の名将チッチ」〈ネイマールも涙した人間力〉<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

ロシアW杯のチッチ監督。ブラジルW杯後には日本代表監督就任への“打診”があったという

 チッチは、コリンチャンス監督時代の2012年にコパ・リベルタドーレスを制覇し、日本で行なわれた世界クラブW杯に南米代表として出場。準決勝でアル・アハリ(エジプト)を1-0で下すと、決勝でイングランド代表MFフランク・ランパード、ベルギー代表MFエデン・アザール、スペイン代表FWフェルナンド・トーレスらを擁する強豪チェルシー(監督はラファエル・ベニテス)をやはり1-0で倒して世界クラブ王者となっている。

2014年W杯後に代表監督のオファーが報じられた

 2013年末にコリンチャンスを勇退し、「今後の1年を休養と研修に充てる」と表明したのだが、2014年W杯終了後、日本サッカー協会から代表監督へのオファーを受けたと報じられた。条件面などで合意には達しなかったのだが、日本サイドからの自身への高い評価と誠実な対応に好感を持ったようだ。

 2017年11月にリール(フランス)で日本代表と強化試合を行なった前後にも、日本のフットボール関係者と交流があった(試合は3-1でブラジルが勝利)。

 このときの試合後の記者会見で日本人記者から質問を受けた際も、その内容とは無関係に「日本の文化は素晴らしい」とコメントしている。

チッチ監督に独占インタビューしたときの思い出

 こういった過去の経験や交流を経て、日本、日本人、日本のフットボールにポジティブな印象を抱いてくれているのだろう――。こう考えていたら、2017年末、彼に独占インタビューしたときのことを思い出した。

 日本のフットボール専門誌からの依頼を受け、ブラジルサッカー連盟の広報担当を通じて取材を申し込んだところ、「30分だけなら」という条件で応じてもらえた。

 当時、ブラジル代表は2018年W杯南米予選を首位で突破したところ。南米予選を振り返ってもらうとともに、来たるW杯での戦い方について聞くのがインタビューの主な目的だった。

 初対面だったので、冒頭、雰囲気を和ませる意図もあって「僕はコリンチャンスのライバルクラブのファンなのですが、あなた個人のファンでもあります」と伝えたところ、相好を崩した。

 そして、「2012年に(コリンチャンスを率いて)あなたの国へ行った際、日本のフットボール関係者に練習、移動、宿舎などで完璧なサポートをしてもらった」、「(ブラジルから遠路はるばる駆けつけた)ブラジル人サポーター、日本在住のブラジル人に加え、大勢の日本人ファンが我々を熱狂的に応援してくれた」として、「私は日本の人々が示してくれた厚意を決して忘れない」と熱く語った。

【次ページ】 約束の30分を過ぎても「私が敬愛する日本の人々に…」

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