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「鳥海はチャラい」「いつも通りふざけてる」と言われたけど… 車いすバスケの異端児・鳥海連志が“緊張しないメンタル”を保てるワケ
posted2022/06/03 17:01
text by
鳥海連志Renshi Chokai
photograph by
Alex Pantling/Getty Images
〈#11 いい人じゃなくていい〉
「インタビュー記事や映像でのイメージとこの本の鳥海って、なんだか違わない?」
ここまでこの本を読んでいて、そんなふうに感じたとしたら、きっとあなたの感覚は正しい。というのも、実のところ僕は、車いすバスケット界では「問題児」「異端児」として扱われている選手だからだ。
年上の選手にタメ口を聞き、コート外ではたいていふざけていて、時間にルーズ。年長者かつチームの主軸にいるヒロ(香西宏昭)やレオくん(藤本怜央)とも衝突したし、アンダー日本代表の頃から一緒にプレーしている拓ちゃん(古澤拓也)とは数え切れないくらいケンカをしてきた。
「誰かに嫌われたら、とか考えたことないの?」
小学生の頃「鳥海はチャラい」と僕のことを嫌っていた友達がいたが(後で仲良くなったけれど)、今もいろんなところに、僕のことを良く思っていない人がいるのは間違いないだろう。
ただ、僕がそういった一面を持つに至った理由を、自分なりに分析してみた。
これは幼少期のときから変わらないことなのだが、僕は、自分が周りからどう見られているかとか、どう見られたいかというところの意識がまったくない。よくも悪くも他人に興味がなく、自分のことにしか意識が向いていなかったのだろう。
「誰かに嫌われたらどうしようとか、考えたことないの?」
そう尋ねられたことがあるが、考えたことがないので答えようがなかった。
そして、まだまだ大人になりきれない僕は今、こう考えるようになった。
自分が大切だと思う人たちと仲良くやっていられたら、それでいい。
僕の場合は、家族やチームメイト、高柗義伸など、ごくわずかな人がこれにあてはまる。
人はそれぞれに性格や信念、嗜好が異なる。「たくさんの人に好かれたい」というのもひとつの考え方だが、僕は違う。
かといって、その領域の外にいる人たちを無下に扱っていいと思っているわけではない。物事に真剣に向き合い、礼を尽くし、媚びや傲慢さのないコミュニケーションをとってさえいれば、多くの人たちとリスペクトし合える関係を築けると思っている。
多くの人たちは他人からの見られ方を気にしているのでは
世間の多くの人たちは、他人からの見られ方(強いていえば「評価」)を気にしているという。