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「『水曜日のダウンタウン』は美味しいんです」“大食い魔女”菅原初代58歳に聞く“TV収録の知られざるウラ側” 一番キツかった企画は?
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph byWataru Sato
posted2022/06/03 11:00
現在は岩手県でパン店を営みながら、バラエティなどにも出演している菅原初代さん
菅原が『水曜日のダウンタウン』に出演する“大きな理由”
菅原が『水曜日のダウンタウン』に出演し続けているのには、企画の面白さ以外にも大切な要素がある。それが、「食事のおいしさ」だ。
「というのも、この番組では、作りたてのものを食べることが多いんです。だから、おいしい。それもあって、毎回『水ダウ』からの依頼は二つ返事で引き受けています」
食べ物の好き嫌いはないという菅原だが、「まずいものを食べるのは、やっぱりしんどい」と吐露する。
「大食いの企画で『水曜日のダウンタウン』のように食事がおいしいのって、実は珍しいんです。たいてい大食いの番組は、一度に大量に作らなければならないし、作ってから食べるまでにタイムラグがある。だからラーメンは伸びてドロドロ、揚げ物は冷めて固くなっているのは当たり前。会場が屋外の場合も多く、そうなると風にさらされてなおさら固くなってしまう。
だから、そういった意味で食べるのがしんどいことはありますね。本音をいえば、すぐそばで調理してくれればいいのにって思うんですが、運営上なかなかそうもいかないみたいで」
番組中に“食材切れのハプニング”はツラい
まずいこと以上にキツいのが、「食材切れ」だという。それが起こりがちなのが、大食い大会の予選。参加者の人数が多いため、大量に準備していても食材がなくなってしまうことがあるのだという。
「実際、私も何かの大会の予選で、食材が切れて2時間待機になったことがありました。
食べ物のコンディションが良くないのは仕方ないとしても、食材が切れるのは、正直かなりきついですよ。食べる勢いを止められるということだから。勢いが止まると満腹になりやすいんです」
その理論を、菅原はダイエット法を挙げて説明する。
「ご飯を半分食べて中断し、少し時間をあけてから残り半分を食べるというダイエット法、知ってますか? 時間が空くことで、脳がもう満腹だという信号を送るので、あまり食欲がわかず、結果的に痩せられるというものです。
私が大食いトレーニングのために研究したのがダイエットの本。
ダイエットは満腹中枢を働かせて食べすぎを防ぎますよね。大食いは、その逆。満腹中枢が働き始める前に、とにかくかき込む。あと、よく噛むと満腹中枢が働くので、あまり噛まないで流し込むとか。つまり、ダイエット本に書いてあることの逆をやればいいんです。
そう考えると、『時間が空いて勢いが途切れる=食べられなくなる』ということ。それは真剣勝負しているフードファイターにとっては、致命的ですよ。
食材切れのアクシデントってテレビ的にはおもしろいのかもしれないけど、食べている方にしたら勘弁してほしいですよね。だから予選には出たくないって、いつも思ってました。女王になれば次回は予選から出場しなくて済むので、絶対女王になろうって。それが頑張る原動力の一つになっていたかもしれないですね」
《第2回に続く》
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