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沖縄尚学の先輩・東浜も「完敗」と認める投げ合い…「投手力が課題」の西武に変化をもたらす“サブマリン”與座海人(26)の成長とは?  

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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posted2022/05/31 06:00

沖縄尚学の先輩・東浜も「完敗」と認める投げ合い…「投手力が課題」の西武に変化をもたらす“サブマリン”與座海人(26)の成長とは? <Number Web> photograph by KYODO

ルーキー古賀悠斗(左)とのバッテリーで今季3勝目を挙げた西武・與座海人。17日には、地元・沖縄での登板でも好投をみせた

 圧巻だったのは記憶に新しい地元の凱旋試合となった5月17日のソフトバンク戦(沖縄セルラースタジアム那覇)だ。前回登板でノーヒットノーランを達成している沖縄尚学高の先輩・東浜巨と投げ合い、8回を零封。勝ち投手にこそなれなかったが、與座のピッチングを東浜は「試合には勝ったが個人的に(内容)は完敗だった」と称えた。

「東浜さんは地元・沖縄のスターです。甲子園で投げている姿をテレビで見ていたし、沖縄尚学に入学したのも東浜さんに憧れて……。そんな方と沖縄で投げ合っているのは、なんだか現実ではないような、不思議な感じがしました。東浜さんはすごい。初回にヒット2本、ありましたけど、その後は1本も打たれず、さすがだなぁと思いました。あの日はせっかく沖縄で投げられて、しかも相手が東浜さんという試合。とにかくできるだけ長くマウンドにいたいという一心で投げました」

 5月29日現在、與座の防御率は規定投球回数未満ではあるものの1.63。ライオンズは12球団トップのチーム防御率2.51を残している。近年、投手力が課題だと言われ続けてきたライオンズだが、その変化に與座のピッチングが一役買っていることは間違いない。

増田、平井から学んだ“オンとオフ”

 昨シーズンの與座は15試合に登板し、1勝1敗という成績でシーズンを終えた。防御率も2点台と及第点ではあったが、序盤はチームが期待するような活躍はできなかった。

 それでも、與座は手応えを感じていた。

「去年は5月と6月に中継ぎで投げさせてもらったんですけど、その中継ぎという、プロに入って初めてのポジションですごく大きな気づきがありました。そのおかげで後半、良い結果が残せたのだと思っています」

 ブルペン待機を経験するまでの與座は、先発する前日から緊張感に包まれ「変に構えてずっと緊張して」登板までの時間を過ごしていたという。

「でもブルペンでほかの投手の様子を見ていると全然違うんです。いつも緊迫した場面で投げる増田(達至)さんとか、平井(克典)さんなど、皆さん、試合中はリラックスしている。マウンドに行く直前にグッと集中して好結果を残していました。その姿を見られたことが、本当に勉強になったし、考え方が変わるきっかけにもなりました。先発に戻ったあとにも、気持ちのオンオフをしっかり切り替えられるようになったと思います」

 以前までであれば、先発で登板する試合はイニング間にも気を張り詰めていたが、ブルペン待機を経験したあとは、投げ終えてベンチに帰った際に一旦、心を鎮めて頭を整理するようになった。そうすることで、次のイニングに「余裕を持ってラクにゲームに入っていけるようになりました」と與座は振り返る。

【次ページ】 「満員の球場で投げたい」

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