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久保建英は「バルサ下部組織の旧友」と何を話したのだろうか… カンプノウで撮った才能の一端と敗戦の悔しさ〈撮影者の視点〉
posted2022/05/07 06:00
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
スペインを中心にヨーロッパ各国でフットボールの撮影をする日本人フォトグラファー中島大介氏。久保建英の戦いぶりを、現場の空気とともに臨場感たっぷりにお届けする(外部サイトでご覧の方は関連記事などの「新着写真」からプレー写真をご覧になれます)。
旧知のアンス・ファティらとカンプノウでの再会
5月1日、リーガ34節バルサ対RCDマジョルカ戦を撮影しました。
前日にはレアル・マドリーがホームのサンティアゴ・ベルナベウでエスパニョールを4-0で下し、リーガ優勝を決めている。
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マジョルカを迎え撃つホームチームは、リーガ優勝を逃した悔しさだけでなく、直近3試合をホームで連敗してしまった屈辱を晴らすためにも――絶対に勝たなければならない試合となった。
対するカンプノウに乗り込むアウェイチームは、残留争いに巻き込まれている。すでにこの試合の前に開催された、マジョルカより順位が下の4チームは、アラベスが勝利して勝ち点3、カディス、レバンテ、グラナダは、それぞれの試合を引き分け、勝ち点1を獲得していた。格上とはいえ、調子を落としているバルサから勝ち点を1でも積み上げる必要がある、絶対に負けられない戦いとなった。
またマジョルカ所属の久保には、バルサのカンテラでのプレー経験がある。怪我での長期離脱から、窮地のバルサを立て直すため、この一戦で復帰となったアンス・ファティとも旧知の仲である。
自分の成長した姿をカンプノウで披露したいという特別な思いも秘めていたはずだ。
久保の先発を想定して確保していた撮影ポジションを…
久保は、初めてカンプノウでプレーした19-20シーズンの一戦でも、マジョルカのユニホームを纏って大きな爪痕を残した。その後、ビジャレアル、ヘタフェでの経験を経て、再びマジョルカの一員としてこの試合を迎える久保のプレーにも注目した。
10万人のキャパを誇る、しかしまだ誰もいない、大きなスタジアムのピッチ脇の撮影ポジションについた。
21時のキックオフより90分前、マジョルカの選手たちが芝の感触を確かめるため、ピッチに姿を現した。ピッチ中央で談笑するもの、ベンチに座りリラックスするものとそれぞれだが、久保の姿は見当たらなかった。そこから30分後に発表された先発メンバーのリストの中にも、残念ながら「TAKE」の名を見つけることはできず、久保の先発を想定して確保していた撮影ポジションを変更した。