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スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
〈オシムの言葉を信奉した選手と指導者〉中澤佑二「サッカー観をガラリと…」、羽生直剛が「めちゃくちゃ怒られた」瞬間とは
posted2022/05/06 18:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Takuya Sugiyama
<名言1>
オシムさんに教わったものはサッカーの進化のベースに必ずあるのだろうと思います。
(江尻篤彦/Number798号 2012年2月23日発売)
◇解説◇
イビチャ・オシムに率いられたあの頃。ジェフユナイテッド市原・千葉にとっての最強時代と言って過言ではないだろう。当時中位が定位置のクラブに与えたトレーニングは「毎日が驚きの連続でした」と語るほど、複雑なルールを設定し、選手に対して常に考え、判断を下すことを強いた。佐藤勇人は当時をこう振り返っていたことがある。
「身体じゃなくて頭が疲れているから、ご飯に何を食べに行くかも考えたくない状態でした(笑)」
「考えながら走るという感覚でやっていました。1時間半の練習が終わるともう何もしたくない」
これほどの濃密な練習の日々が、ジェフのサッカーを進化させることになった。
欧州CLでの失点シーンを「Jリーグでも起こり得るから」と練習に落とし込む日もあれば、スタメン組をコーチの江尻らが、サブ組をオシムが見ることもよくあったという。対戦相手のスカウティング班が頭を悩ますほど複雑で濃密な準備は、一方で選手たちに自信を与えていく。
「68m×105mというピッチの規格のように、何があっても変わらない真理のような存在」
江尻の言葉からは、どれだけオシムを信奉していたかが伝わる。
中澤佑二も「サッカー観をガラリと変えられる衝撃」
<名言2>
オシムさんの指導には、それまでのサッカー観をガラリと変えられるくらいの衝撃を受けました。
(中澤佑二/Number747号 2010年2月4日発売)
◇解説◇
中澤は田中マルクス闘莉王とともに、2000年代後半から2010年の南アフリカW杯まで、日本代表のセンターバックコンビとして堅牢な守備を構築した。
そんな中澤も、オシム監督からは「Jリーグの物差しではなく、世界の物差しでサッカーを見ろ」と口酸っぱく言われ続けたという。考えるサッカーを標榜するオシムからは、サッカーの質の向上を求められたと中澤は回想していた。