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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
〈屈辱のノンテンダーFA〉日本ハム→楽天で復活どころか打点王争い… 西川遥輝30歳はキャリアハイの数字で見返せるか
posted2022/05/03 11:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
昨年、日本ハムをノンテンダーFAになり楽天に移籍した西川遥輝が見違えるような活躍をしている。
西川遥輝は智辯和歌山高から201年のドラフト2位で日本ハムに指名されて入団。当初は内野手だったが2013年から外野を守るようになり、2014年に規定打席到達。以後、盗塁王4回、ベストナイン2回とリーグを代表するリードオフマンになった。
「盗塁成功率と出塁率」が高いリードオフマンの復活
しかし近年は成績が下降気味になっていた。ここ5年間の西川のリードオフマンにかかわる指標の推移を見ていこう。
2018年(日本ハム)44盗塁/成功率.936 打率.278 出塁率.391
2019年(日本ハム)19盗塁/成功率.792 打率.288 出塁率.393
2020年(日本ハム)42盗塁/成功率.857 打率.306 出塁率.430
2021年(日本ハム)24盗塁/成功率.686 打率.233 出塁率.362
2022年(楽天)7盗塁/成功率.700 打率.337 出塁率.477
ただ足が速いだけでなく、西川遥輝は盗塁成功率が高いことでも知られていた。2020年オフの時点で、287盗塁45盗塁死/盗塁成功率.864は、200盗塁以上の選手では、巨人の「秘密兵器」として知られた鈴木尚広の.829(228盗塁47盗塁死)を抑えて断トツの史上第1位だった。
しかし昨年は24盗塁で4度目の盗塁王は獲得したものの11盗塁死、通算では311盗塁56盗塁死の.847と落ちてしまった。今季はすでに7盗塁、3盗塁死は西川にしては多いが、失敗を恐れることなく40盗塁ペースで走っている。
昨年は打率も.233と下落、選球眼は依然として優秀ではあったが、出塁率は4割を大きく割り込んだ。しかし今季の出塁率はリーグトップの.477、四球数はオリックスの吉田正尚と並ぶ23と、粘り強さが戻ってきた。
トップクラスのリードオフマンが復活しただけでなく、本塁打数5本はリーグ4位、塁打数52は吉田正尚と並ぶ1位、打点22は吉田正尚と1点差の2位、得点機には手ごわいクラッチヒッターにもなっている。
屈辱的な人事だったスター選手のノンテンダー
昨年オフ、日本ハムからノンテンダーFA(所属球団が保留手続きをすることなく選手をFAにすること。今後はこの言葉を使用しないようだが)になったのは、西川遥輝、大田泰示、秋吉亮の3選手だった。このうち大田は巨人から、秋吉もヤクルトからの移籍だったが、西川は日本ハムの生え抜き選手。しかも最も若かった。
親会社日本ハムのCMにも出演し、スター選手の1人だった西川にとっては屈辱的な人事ではあっただろう。