12月には楽天の移籍が決まったが、メディアは「楽天の外野には打点王の島内宏明、岡島豪郎、辰己涼介、新外国人のマルモレホスと良い選手がいる。西川のレギュラーは保証されていない」と厳しい見方をしていた。

　しかしオープン戦で33打数12安打、打率.364と結果を出した西川は開幕から不動の1番打者として活躍している（※日本ハム戦での成績は6試合22打数8安打5打点2盗塁、打率.364）。チームが替わっても、まるで何事もなかったかのように、存在感を示している。

昨季までの本拠地・札幌ドームでもタイムリーを放った　©Kyodo News

日本ハム時代に見た「子供たちへのファンサービス」

　筆者は沖縄県名護市や国頭村の日本ハム春季キャンプで、西川が子供たちにボールを投げて寄こしたり、西川の方から子供たちに歩み寄ってサインをしたりする光景を目にした。チームを代表するスター選手として、ファンにどうふるまうべきかをわきまえていたのだ。

　それだけに、今回の移籍はプライドを傷つけるものだったとは思う。しかし、西川は「野球選手が名誉回復する手段は、グラウンドにしか落ちていない」ことを理解して、数字で見返してみせたのだ。

　今季の楽天の好調は、リードオフマン西川遥輝によるところが大きい。4月16日で30歳になったが、今季はキャリアハイを記録するのではないか。

©Nanae Suzuki

NPB第5週の成績 2022年4月25日～5月1日

〇セ・リーグ

ヤクルト3試3勝0敗0分 率1.000
阪 神5試5勝0敗0分 率1.000
中 日5試2勝3敗0分 率.400
巨 人6試2勝4敗0分 率.333
DeNA4試1勝3敗0分 率.250
広 島5試1勝4敗0分 率.200

　開幕から超低空飛行だった阪神が前週から続いて6連勝をマークし、勝率は.333まで上昇した。5位DeNAとは2.5差に縮まった。

・個人打撃成績10傑 ※RCは安打、本塁打、盗塁、三振、四死球など打撃の総合指標
村上宗隆（ヤ）9打4安1本5点2盗 率.444 RC5.16
糸井嘉男（神）14打8安5点 率.571 RC4.91
吉川尚輝（巨）23打8安1盗 率.348 RC4.67
岡本和真（巨）24打5安4本7点 率.208 RC4.48
牧秀悟（De）11打4安1本2点 率.364 RC4.42
山田哲人（ヤ）12打5安1本2点1盗 率.417 RC4.18
堂林翔太（広）19打6安1本2点 率.316 RC3.77
近本光司（神）20打6安2点1盗 率.300 RC3.66
ウォーカー（巨）19打5安1本2点 率.263 RC3.36
オスナ（ヤ）13打6安2点 率.462 RC3.23

　各球団の中軸クラスが顔をそろえている。巨人の岡本はこの週5安打だがそのうち4本が本塁打。7打点も1位。ヤクルト村上は4安打に加え5四球、2盗塁もマークしている。

・個人投手成績10傑 ※PRはリーグ防御率に基づく総合指標
大瀬良大地（広）1登1勝9回 責0率0.00 PR3.40
メルセデス（巨）1登1勝7回 責0率0.00 PR2.64
九里亜蓮（広）1登7回 責0率0.00 PR2.64
柳裕也（中）1登1勝7回 責0率0.00 PR2.64
青柳晃洋（神）1登1勝9回 責1率1.00 PR2.40
サイスニード（ヤ）1登1勝6回 責0.00 率0PR2.27
山﨑伊織（巨）1登1勝6回 責0率0.00 PR2.27
松葉貴大（中）1登5回 責0率0.00PR1.89
西純矢（神）1登1勝7回 責1率1.29 PR1.64
西勇輝（神）1登1勝6回 責1率1.50 PR1.27
シューメーカー（巨）1登6回 責1率1.50PR1.27

　広島の大瀬良が29日の中日戦で117球で完封勝利を挙げ、早くも今季2完投目となった。巨人、メルセデスは27日のDeNA戦で7回零封。今季5先発で4勝。阪神は、青柳が29日の巨人戦で自責点1の完投、阪神は、西勇輝に加えて佐々木朗希や奥川恭伸、宮城大弥と同世代の西純矢が5月1日の巨人戦で7回自責点1。先発の陣容が揃ってきた。

　救援投手では、阪神の岩崎優が2セーブ。アルカンタラ、湯浅京己が2ホールドとここでも阪神勢が好調だった。

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