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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「“気分が乗らない雰囲気”を出す選手がいない」「キャンプで“西川走塁道場”が…」昨季コーチの鉄平だからこそ知る《楽天首位快走の真相》
text by
間淳Jun Aida
photograph byKyodo News
posted2022/05/03 11:03
首位を快走する楽天。昨年までコーチだった鉄平氏に好調の要因を語ってもらった
「投高打低」の傾向が顕著なシーズンで、打率は3割を超えリードオフマンとしてチームをけん引している。出塁率も盗塁数もリーグ上位に名を連ねる。不振に陥った昨シーズンから、盗塁王のタイトルを獲得した本来の輝きを取り戻している。
鉄平氏が驚いたのは、キャンプ初日の光景だった。
「サブグラウンドで西川選手の道場が開かれていました。走塁の話に若い選手が食いついているんです。移籍してチームに合流した初日に。すごく良い相乗効果が生まれると感じました」
チームの走塁を変革した数字とプレー意識
生きた教材は、チームの走塁を変革した。
若手が西川から盗塁のスタートの切り方や相手バッテリーにプレッシャーをかける塁上の動きなどを吸収する。プロ4年目の小郷裕哉は、オープン戦でトップタイの5盗塁。しかも、一度も失敗しなかった。昨シーズン38試合に出場して盗塁は1つだけだったことを考えると、意識の変化は明らかだろう。チーム全体でも今シーズン、1試合当たりの盗塁数はロッテに次ぐリーグ2位。リーグ最少の45盗塁だった昨シーズンから変化している。
鉄平氏は「西川選手と話す機会がありました。その時に、もちろん盗塁を決められたらいいが、走らなくても打者を助けたり、相手バッテリーにプレッシャーをかけたりする方法はあると話していました。塁上の西川選手の動きから、他の選手は学ぶことが多いと思います」と新戦力が加わった効果を感じている。
西川の高い出塁率は得点チャンスをつくるだけでなく、楽天の若手が走塁の知識や技術を得るチャンスにもなっている。
「5~8番打者」で点を取れるか
このまま楽天は首位を走り、2013年以来のリーグ優勝を果たせるのか。鉄平氏は、攻守とも「後ろ」がポイントになると指摘する。
打線では、西川と浅村に加えて、昨シーズン打点王のタイトルを手にした島内宏明と上位打線は計算できる。現在の主な攻撃は、下位打線や1、2番がつくったチャンスを、この3人が中心となって得点を重ねている。ここに、もう1つの得点パターンが加わると、相手への脅威が増す。
鉄平氏が重要視するのは「5~8番打者」だ。