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“吉田輝星の現在”を予見? 恩師・荒木大輔が語る“先発かリリーフか問題”…「今褒めたらダメでしょ(笑)」「やんちゃっぽさも消してほしくない」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph bySankei Shimbun
posted2022/04/24 11:03
秋田・金足農業高校のエースとして甲子園を席巻したあの夏から4年。日本ハム・吉田輝星が大ブレークの兆しを見せている
「ストレートだけじゃ通用しない、そういう世界じゃないんだよ、という話をよくしましたね。変化球を禁止にした試合では、対戦相手の監督に『今日、輝星は真っ直ぐしか投げないので、是非打ち込んでください。全部打ってノックアウトしてください』という話をして。輝星にそれを伝えたら『信じられない!』って悲鳴を上げていましたけどね(笑)。でもストレートに自信があるならストレートで抑えてくればいい。相手がストレートを待っていても打ち取ってくればいいんだから」
“真っ直ぐ縛り”で抑えることもあれば、滅多打ちにあったり、力んでストライクが入らなくなることも。それは吉田にとって、今の自分に何が必要なのか、現在地を自覚する機会にもなった。
「それくらいの期待値があるからこそ、です。跳ね返すだけのものがあると思っていたしね。ガッツがあるし、絶対に練習をサボらない。キャンプでノックを打って、左右に振ったりしてもあいつだけは絶対に最後までへこたれないですから。そういうところが好きなんですよ」
「あのやんちゃっぽさも、絶対に消してほしくない」
その負けん気の強さは、今季開花したリリーフとしての素質にもつながっている。
「肩を作るのも早いし、スタミナがあって連投もきく。あの体の強さはご両親に感謝しなければいけないし、高校時代によっぽど鍛えられたんだろうな、と思う。何よりいいのは、気持ちの強さですね。追い込まれたときでも力を出し切れる精神力がある。あのやんちゃっぽさも、絶対に消してほしくない部分です」
入団から3年間、壁を越えようともがいてきた吉田の姿を見てきた荒木氏が今後に期待することは――。
「二軍で一緒にやっていた選手たちはその苦労を知っているだけに、今でもみんな気になっています。子どもみたいな感覚ですかね。輝星は今やっときっかけを掴んで殻を破ろうとしているところ。ピッチャーには色々なタイプがあって、オリックスの山本由伸やソフトバンクの千賀滉大も、最初はリリーフで頭角を現している。輝星もこの経験を糧に先発として開花するのか、それともこのままリリーフの地位を確立して武田久や藤川さんのような存在になるのか。いずれにしろその成長を楽しみにしています」
吉田は「いつか絶対に褒めさせてやる」と言っていたそうだが、この活躍で少しは褒め言葉をかけられる?
「いや、あいつは今褒めたらダメでしょ。シーズンをしっかりやり切ってからでいいんじゃない?(笑)」
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