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“吉田輝星の現在”を予見? 恩師・荒木大輔が語る“先発かリリーフか問題”…「今褒めたらダメでしょ(笑)」「やんちゃっぽさも消してほしくない」
posted2022/04/24 11:03
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Sankei Shimbun
秋田・金足農業高校のエースとして甲子園を席巻したあの夏から4年。日本ハム・吉田輝星投手が大ブレークの兆しを見せている。中継ぎとして起用された4月2日オリックス戦から、8試合連続無失点投球を継続中(4月23日現在)。プロ入りした2019年から2年間は二軍監督兼投手コーチとして、昨季は一軍投手コーチとして吉田を指導した野球評論家の荒木大輔氏に、リリーフとしての素質や打ち破った壁、今後への期待を聞いた。
「今の輝星の姿こそイメージしていたもの」
直球を主体に強気に攻めるスタイルで輝きを放つ吉田。リリーフで8試合連続無失点と殻を破ったかに見える活躍は、恩師にどう見えているのか。
「今までもこれくらいのボールを投げられていた時期はありました。ただ、それが長続きしなかった。1試合の中でもそうだし、きょうは出来ていても次は別人、というようなムラがあったんですね。今年はキャンプの時に藤川(球児)さんに色々と話を聞いて、腕を縦振りするように投球フォームを変え、フォークやスライダーの使い方も良くなった。昨季まで二軍でずっと彼を見てきた加藤(武治)、島崎(毅)の両投手コーチが一軍に上がってそばにいることもあって、今まで取り組んできたことと新しい発見が上手くミックスされて、いい方向に進んでいるのだと思います」
実は吉田のリリーフとしての適性は、荒木氏が二軍監督時代から見出していたものだ。栗山英樹・前監督にも、短いイニングから育成していくプランを相談していたという。
「今の輝星の姿こそプロでやっていく道筋としてイメージしていたものでした。入ってきた時から思っていたし、2年目になってからは栗山監督にも『僕のイメージでは武田久なんです』ということを伝えていました」
甲子園の残像とストレートの呪縛
武田久は日本ハムでの現役時代、中継ぎとして534試合に登板。最多セーブのタイトルを3度獲得したスペシャリストだ。投手としてのスタイルはかけ離れているように見えるが、荒木氏はまず短いイニングを投げ切る経験を重ねることが、吉田がプロで生き抜いていくためのステップになると考えていた。