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鈴木誠也が語る“LINE友達”大谷翔平への思い「彼の活躍があるから、僕も…」 打撃センスにカブスのエースは「味方で良かったよ(笑)」 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2022/04/23 11:03

鈴木誠也が語る“LINE友達”大谷翔平への思い「彼の活躍があるから、僕も…」 打撃センスにカブスのエースは「味方で良かったよ(笑)」<Number Web> photograph by Getty Images

週間MVPを獲得するなど、メジャー1年目ながら好調をキープしているカブスの鈴木誠也

鈴木の信念「データ通りにいかないのが野球」

 米メディアのリアクションは分からないでもなかった。セイバーメトリクスに始まり、ビデオ解析全盛の時代。選手のほとんどが統計だけでなく映像にも大きく頼る。自身の技術的な修正も含めビデオシステムは必須アイテム。今どきの選手にとって最重要ツールとなっている。

 そんな時代に倣い、米メディアは「鈴木がデータ解析の達人」だと思ったのだろう。だが、実際は違う。鈴木は『オールド・スクール・ボーイ』。キャンプ期間中、彼はこんなことを言っていた。

「配球とか持っている球種はある程度見ますけど、打席に立った感覚と本能みたいなものは大事にしていきたい。本当にここまでデータでやったことがないので、あんまり考えすぎてもおかしくなってしまいそう。気になるところは見て、余計なところは見ないでいいのかなと思ってます」

「もちろんデータも大事なんですけど、人間がやることなので。データ通りにいかないのが野球だと思うので。そこに頼りすぎてもうまくいかなかったときに後悔する。自分の考えを大切にしていきたい」

 郷に入っては郷に従えという言葉もある。だが、彼は惑わない。己を貫き通す強さと言えばいいであろうか。この世界でその強さを最初に感じたのは野茂英雄さんだった。直球とフォークボールとトルネード投法。彼は拘りを貫き通し、メジャー1年目から結果を残し、先駆者となった。鈴木からも同じ強さを感じずにはいられない。

カブスのエースが明かした本音「味方で良かったよ(笑)」

 開幕から12試合を経過し、鈴木の出塁率はメジャートップの.565に立った。四球13は昨季リーグ最多の145四球を選んだフアン・ソト(ナショナルズ)の14に次ぎ2位。自分のストライクゾーンから外れたボールは、たとえ主審からストライクとコールされようと手を出さない。追いかけない。セレクト能力は抜群。選球眼の良さが際立つ。

 デービッド・ロス監督は「彼は振るべき球を理解している」と評価したが、それ以上の賛辞を送ったのが、カブスのエース、カイル・ヘンドリクスだった。コントロールを生命線とし、3年連続で開幕投手を務め、クレバーな投手として名を馳せる彼の言葉には説得力があった。

「彼はどの打席でもボール球に手を出さないね。選球眼がいいのがわかる。僕は彼のような打者と対戦することは、どういうことか理解しているつもりだ。ストライクゾーン全体をカバーできるし、ボールを振らない。彼のような打者にゲームプランを立てるのは、本当に難しい。頭が痛い。味方で良かったよ(笑)」

 鈴木は謙虚に言った。

「必死にやってる結果が、今、たまたまついてきているだけだと思うんで。バッティングはやっぱり波があるので、良い時があれば悪い時もあると思う」

 だが、選球眼にスランプはない。状態が悪ければ、多少の球の見え方は違ってくるかもしれない。それでも選球眼は安定したパフォーマンスを支える大きな武器となるはずだ。

【次ページ】 LINE友達・大谷翔平への思い「彼の活躍があるから…」

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