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『イッテQ』スタッフが持ち帰った石で世界一を獲得!“水切り”を極めた日本人世界王者30歳が明かす、遠く美しく石を投げるコツとは
text by
齋藤裕(Number編集部)Yu Saito
photograph byYu Saito
posted2022/04/10 11:01
高校までの野球経験を生かした美しいフォームで水切りする橋本さん。フォームは元々のアンダーからサイド気味に変更した
「まず一方の面が平らであることが重要です。その平らな面を下にして水に跳ねさせます。それと、縁が丸い石より、やや角がある石のほうが投げやすいです。角に指をひっかけることで、石に回転を与えやすくなり、野球ボールの縫い目のような役割を果たしてくれます。水面を綺麗に跳ねさせるには、ある程度の回転が必要なんですよ」
――石のサイズはどうですか?
「十分なスピードと回転が与えられる範囲で、大きくて重い石がいいです。特に、スピードが出せる人には、軽い石はすごく難しい。石のスピードが出れば出るほど、水と風の抵抗を強く受けるようになります。抵抗をうけると推進力が落ちるだけでなく、石の姿勢が崩れてしまい、それによって跳ねる角度を保てなくなっちゃうんです。その点、重い石なら、抵抗に負けにくいので、スピードを上げても姿勢を保ってくれます。私の場合、100gくらいの石を使うことが多いです」
水切りに適した石の入手方法
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――そういったいい石が見つかりやすい場所ってあるんですか?
「全国規模で言えば、中央構造線(関東、中部、近畿、四国、九州を横断する断層)に沿っている、三波川変成帯という地質帯に注目しています。その三波川変成帯の主要な岩石が、結晶片岩という種類で、平たくなりやすい石なんです。三波川変成帯を通ってくる川では、結晶片岩が多く、良質な水切り石がたくさん拾えることがあります。私が行ったことがあるところでいうと、群馬県藤岡市、埼玉県寄居町、和歌山県紀の川市、愛媛県西条市では特に良い石が拾えました」
――全国に跨っているものなんですね。
「より局地的な話をすると、扇状地の要から探すことが多いです。川が山間部から平野に流れ出てくるところですね。ちょうどよく石が削られ、使いやすいサイズになっていることが多いです。また、石の拾える河原と、投げる場所としての川幅の両方が広いことが多く、水切りを楽しみやすい場所でもあります。いい石を拾ってすぐ投げて試せるのがいいですね」
――投げ方のコツは?
「石を持つ時は、手をピストルのような形にし、中指の第2関節(指先から数えて2番目)に石を乗せ、石を安定させます。それから、人差し指を石の角にしっかりかけます。親指は石の上か、縁につけます。
あとは水面への衝突角度が水平に近づくことを意識して、低いところから、まっすぐ水面に投げるイメージを持ってください。山なりになったり、叩きつけたりしてしまうと、綺麗には跳ねてくれません」