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「高校時代の自分が聞いたら腰を抜かす」中華料理店でバイトしていた青年はなぜロッテのエースになれた? 石川歩33歳の運命を変えた“シンカー”

posted2022/04/07 11:03

 
「高校時代の自分が聞いたら腰を抜かす」中華料理店でバイトしていた青年はなぜロッテのエースになれた? 石川歩33歳の運命を変えた“シンカー”<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

開幕投手として初めて白星をあげたロッテ石川歩(4月11日で34歳)。「専門学校に進もうと思っていた」という学生時代を振り返った

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千葉ロッテマリーンズ取材班

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 千葉ロッテマリーンズの開幕投手を務めたのは、プロ9年目を迎えた石川歩投手だった。

「昨年のオフの時点から石川にしようと決めていた」と信頼の言葉を口にするのは井口資仁監督だ。本人に伝えられたのは2月20日。浦添でのヤクルトとの練習試合前に、石垣島のB組キャンプに残留して調整していた石川に電話で想いを伝えた。

「わかりました。頑張ります」

 背番号「12」はいつも通りの淡々とした口ぶりで、自身3度目となる“栄誉”を受けた。

 迎えた3月25日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦。決め球のシンカーが冴え、7回無失点。開幕投手として初めて勝ち投手となった。

高校時代は中華料理店でアルバイト

 2014年に新人王。16年に最優秀防御率のタイトルを獲得し、翌年には日本代表としてWBCに出場。今でこそ誰もが知る存在だが、学生時代はエリートとは程遠かった。

 高校3年生の冬、石川は地元・富山にある中華料理店でアルバイトをしていた。メインの仕事は皿洗い。時々、餃子作りも手伝った。大学に入る前の数カ月間のアルバイト生活は、本人にとってはいい思い出だという。ただ、そんな経験をしているドラフト1位選手にはなかなかお目にかかれない。

「友達が働いていて、誘われました。だから、お小遣い稼ぎにとなんとなく、働いていた」

 アマチュア時代は野球選手として明るい未来を簡単には想像が出来ない時期ばかりだった。富山県立滑川高ではエースとして活躍するも、最後の夏は富山大会3回戦敗退。5回を投げて降板。高校野球はあっさりと終わった。

 ぼんやりと日々を過ごしていた時、野球部の部長から大学のセレクションを受けることを勧められる。愛知県にある中部大学。自信がなく躊躇したが「練習に参加して、目に留まればスポーツ推薦で入学し、野球を続けられる。ダメでもいいじゃないか。受けてみる価値はある」と説得された。難しいと思いながらも、言われるがままにとりあえずグラウンドに足を運んだ。

【次ページ】 服飾の専門学校に進む予定だった?

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