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J2ヴェルディがインスタ “フォロワー数” 日本一のスポーツチームに? “経営危機・コンプラ問題続きの古豪”の活路は「新加入のインドネシア人」
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTetsuro Kaieda
posted2022/04/04 17:01
ヴェルディに加入したインドネシア人のプラタマ・アルハン
インドネシア大使も大きな期待
発表から1カ月後に来日したアルハンの加入記者会見は、3月25日、品川区のインドネシア大使公邸で盛大に執り行われた。
「日本サッカーはとても強く、Jリーグはレベルが高い。ここでプレーすることはきっと自分の力になるだろうと、新しい挑戦を決意しました。J1を目指す東京Vの一員として、左サイドからスピードのある攻撃を仕掛け、クロスや得意とするロングスローでもチームに貢献していきたいです。(過去、Jリーグで成功を収めたインドネシア人がいないことに関しては)プレッシャーではなく、むしろモチベーションになります。自分はもっと努力したい」
そう語るアルハンの横、会見に同席したインドネシア共和国大使館のヘリ・アフマディ特命全権大使は自慢の息子を見る目である。
「この度、アルハンが東京Vに加入したことは、日本とインドネシアの協力関係が新たなステージに入ったことを意味します。社会、スポーツの分野で両国の文化交流、橋渡しを担ってもらいたい。今後、インドネシアのサッカーのレベルアップ、育成年代の教育においてよい影響があることを期待しています」
「Jリーグのアジア戦略の一環として話が」
東京Vの江尻篤彦強化部長は、アルハン獲得の経緯についてこう語った。
「昨年の春頃、Jリーグのアジア戦略の一環として話が持ち込まれ、8月あたりから本格的に検討に入りました。クラブ内ではさまざまな意見があり、このプロジェクトにチャレンジしたいという考えを聞く一方、私自身は慎重な姿勢でいましたね。いくらプロジェクトに魅力があり、またビジネスの面で旨みを期待できるからといっても、現場に及ぼす影響を考慮しなければいけませんので。はたして、本当にJ2で通用するのか。埋めがたい実力差があれば、互いにとってよい移籍とはならず、彼のキャリアを弄ぶようなことはしたくなかった」
昨年12月から今年1月にかけて行われたAFFスズキカップ(東南アジアサッカー選手権)、アルハンはインドネシア代表の準優勝に主力として貢献し、大会最優秀若手選手賞を受賞。ここでのパフォーマンスが決め手となり、江尻強化部長はゴーの決断を下す。
「ゴール方向へのスピード、推進力のあるプレーが特長。オンラインで面談し、向上心の強さ、ひたむきさも感じ取れました。バリバリの即戦力とはいきませんが、20歳と若く育てるだけの価値は見込める選手だなと」