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大学中退→覚悟のプロ契約…バスケ河村勇輝(20)を加速させた「2年後のパリ五輪」“超えるべき壁”富樫勇樹との差とは? 

text by

田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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photograph byTomosuke Imai

posted2022/03/31 11:09

大学中退→覚悟のプロ契約…バスケ河村勇輝(20)を加速させた「2年後のパリ五輪」“超えるべき壁”富樫勇樹との差とは?<Number Web> photograph by Tomosuke Imai

来季から横浜ビー・コルセアーズとプロ契約を結んだ河村勇輝(20歳)

――この決断は簡単ではなかったと思います。ご両親に「プロ一本で勝負します」と伝えたときは、どんな反応でしたか?

河村 プロバスケットボール選手になる決断はリスキーだと思いますが、これまでも進学の際など、両親は常に自分の決断を尊重してくれていました。今回も「しっかり覚悟を持って、大変なことがあっても責任が取れるならいいぞ」と。厳しい言葉ではありますが、後押しになるメッセージをもらいました。

――葛藤や恐怖心はなかったのですか?

河村 なかったですね。自分の目標に対して、直感や自分の気持ちを尊重したいと思っていたので、恐怖心はなかったです。

――恩師である陸川監督にはどんなふうに伝えたのでしょうか?

河村 実は12月のインカレが終わってから少しずつ進路についての相談はしていました。年明け頃にしっかりと時間をとっていただき、決断したことを話しました。

――インカレの時からすでに心が揺らいでいた?

河村 それはないです。インカレの時は自分の進路のことは考えず、優勝することだけ、結果だけにフォーカスしていました。

――陸川監督からどんな言葉をもらいましたか?

河村 「あなたの意見を尊重したい」と背中を押していただきました。すごく嬉しかったですし、監督としても簡単な決断ではなかったと思うので、この状況下でも自分を尊重してくださったことには感謝しかないです。

――東海大バスケ部にとっても「河村勇輝」が抜けることは大きなことだと思います。

河村 先輩やチームメイト、後輩と一緒に切磋琢磨してきましたが、自分がいてもいなくても変わらないぐらいの総合力があるチームです。東海大は個々の力というかチーム力で戦います。そういった意味でもインカレでは悔しい結果(準優勝)に終わりましたが、来年はみんなが借りを返してくれると信じています。東海大の一員ではなくなりますが、引き続き応援したいです。

――チームメイトからは止められたりしなかったんですか?

河村 全くなかったですね。「マジで頑張ってくれ」とみんな後押ししてくれたので。本当に、頑張らないといけないですね。

日本一のポイントガードになる

――少し話を戻します。先ほどもオリンピックの話が出ましたが、河村選手にとって五輪、そして日本代表というものはどんな価値があるのでしょう?

河村 日本代表のポイントガートになるということは、日本でトップの選手になるということ。これまで「日本一のポイントガード」になることを目指してきたので、その1つの証明が日本代表だと思います。バスケットボールというサイズにアドバンテージがあるスポーツの中で、自分のような小さい選手(172cm)が活躍することは、バスケットのみならず、たくさんの方々に勇気を与えられると思います。それを証明できるように頑張っていきたいです。

――プロ契約のリリース以降、パフォーマンスが上がったように見えます。

河村 自分としてはあまり変わらないです。特別指定選手という立場でもプロバスケットボールの選手だったことには変わりないので。ただ、プロとしてご飯を食べていくと決めた以上は、結果が一番大事。気持ちの部分では、しっかりやらないといけないと感じています。

【次ページ】 富樫勇樹は「憧れ」から「ライバル」に

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