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大学中退→覚悟のプロ契約…バスケ河村勇輝(20)を加速させた「2年後のパリ五輪」“超えるべき壁”富樫勇樹との差とは?
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byTomosuke Imai
posted2022/03/31 11:09
来季から横浜ビー・コルセアーズとプロ契約を結んだ河村勇輝(20歳)
――ポジションが同じ富樫勇樹選手からは何か言われましたか? 憧れのプレーヤーでもあったと。
河村 高校(福岡第一高)の時から「早くプロに行けよ」と言ってもらっていたので、「やっとだね」と(笑)。学生時代から富樫選手を見て「自分もこういう選手になりたい」と思っていました。自分よりも身長は小さいですが(167cm)日本一のポイントガードで、全てにおいて日本のNo.1。自分が日本代表を目指す上で富樫選手という壁は乗り越えていかなくてはいけません。憧れの選手ではありましたが、今は超えていかないといけない選手だと思っています。
――パリ五輪まで2年、何を磨けばオリンピックに辿り着けると思っていますか?
河村 やはりシュート精度じゃないですかね。自分と富樫選手との明確な差はスコアリングだと思います。特にトム・ホーバスさん(男子日本代表HC)のバスケットはポイントガードが主体のスタイルなので、スコアの力は当然必須になります。そこが今の自分には足りていないですね。
――ドライブ力がある、スピードがある。そこに加えて、これから必要な攻撃のツールはシュート精度だと。
河村 もちろん全てにおいて必要ですが、まずは3Pの確率を上げないといけません。あとは普通のレイアップだけではなく、フローターであったり、ミドルだったり、ステップバックだったり、シュートのバリエーションは増やしていかないといけないと思っています。
――具体的な「数字」の目標はありますか?
河村 数字にはこだわりがないですね。チームが勝つために何が必要かを考えてやっているので、何かスタッツに気を配るということはないです。
「自分にはスタイルを変えられる力がある」
――プレーする中で一番重要視していることはなんでしょうか?
河村 すごく抽象的ですが「ゲームを支配する」こと。ここは自分の中ですごく意識しています。支配する方法は試合によって変わると思いますが、自分は試合によってスタイルを変えられる力があると思っているので。スコアする時はスコアする、アシストする時はアシストする、ディフェンスする時はディフェンスする。チームにおいて自分が何をすべきかということを常に考えるようにしています。
――日本だけでなく、バスケ界の“大型化”の流れにはどんな考えを持っていますか?
河村 Bリーグでも、ポイントガードにアジア枠の選手や帰化選手、外国籍の選手が増えているので、“大型化”は実感しています。でも日本にいても外国籍選手と対戦できていることはいい経験だと思いますし、日本代表として世界に出れば大きな選手と戦っていくことが当たり前。それを今Bリーグでやれていることが素晴らしいことだと思います。それに、トムさんが身長やサイズを気にせず、バスケットの能力を重視した選考をしているので、自分にもチャンスはあるなと感じています。
――フィジカル的には自信がついてきましたか?
河村 徐々に強くなっているとは思います。同時に、水曜と土日にゲームをこなすスケジュールを連続で経験するのは今シーズンが初めてのことなので、大変さも感じています。シーズン通してスタミナの必要性を実感したので、来季はオフからしっかり走り込んだり、トレーニングして、(スタミナを)貯蓄してシーズンインできたらと思います。今季は大学の試合と掛け持ちだったのでフィジカル的には大変な部分がありましたが、こういった経験ができているだけでありがたい。しっかり準備して臨みたいと思います。
――残りのシーズンの意気込みを教えてください。
河村 先日は千葉ジェッツに勝つことができましたし、少しでも上位のチームに勝つ姿を見せたいと思っています。残り15試合ですが、1試合でも多く勝って、来シーズンにいい勢いで臨めるよう頑張りたいです。