Jをめぐる冒険BACK NUMBER
〈ベトナム戦は失敗?テストは持ち越し〉日本代表の新戦力候補・筆頭は奥川雅也に川辺駿 層の薄いアンカー、SBで注目したいのは…
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2022/03/30 12:00
W杯出場を決めた日本代表。本番まであと8カ月、果たして新戦力がどこまで食い込んでくるか
これまでの我慢や献身に報いるために、出場機会の少なかった選手たちを送り出したのは、チームをマネジメントするうえで必要なこと。スターティングラインナップに“いつものメンバー”が並んでいたら、チームの士気が落ちかねない。あれだけチャンスのあった後半に仕留められなかったのが、問題だ。
本当のチーム内競争は、6月シリーズから始まる
チーム内の競争に話を戻せば、6月シリーズから始まると見るべきだろう。
実際、指揮官もオーストラリア戦翌日の取材対応で、こんなコメントを残している。
「できれば多くの選手にピッチに立ってもらい、チームを底上げしながら予選を戦っていきたかったが、今回の予選では親善試合がまったくなかったから、それができなかった。ここからは多くの選手を起用してW杯の準備をしていきたい」
過去の最終予選では、2連戦のシリーズのうちの1戦目が親善試合であることが多く、戦術のテストをしたり、新戦力を試したりすることができた。
ところが、今回はコロナ禍によって予選が延期されたため、本来は1年かけて行われる最終予選が半年間に詰め込まれ、親善試合を組むスケジュールの余裕はなかった。22年1月にはようやくウズベキスタンとの親善試合が組まれたものの、結局、オミクロン株の流行を理由に、中止を余儀なくされてしまった。
森保監督の言葉から考える“新戦力候補”筆頭は?
森保監督の言葉を素直に受け取れば、6月のインターナショナル・マッチ・デイに予定されている親善試合には、最終予選で呼べなかった新顔を試すはずだ。
その新戦力とは、果たして誰か――。
ブンデスリーガのビーレフェルトで今季8ゴールのMF奥川雅也はその筆頭だろう。左利きのウインガーで左右両サイドをこなせるうえに、インサイドでもプレーできる。20年11月の欧州遠征では追加招集されたものの、当時所属していたザルツブルクにクラスターが起きたため、招集が取りやめになってしまった過去もある。
スイスのグラスホッパー・チューリッヒでプレーする川辺駿も有力候補だ。川辺は21年3月に代表デビューを飾り、すでに4試合に出場している。21年7月にサンフレッチェ広島から移籍すると、攻守両面で活躍し、ここまで6ゴールをマーク。ボックス・トゥ・ボックスのタイプでインテンシティも高く、インサイドハーフとして打ってつけだろう。