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〈ベトナム戦は失敗?テストは持ち越し〉日本代表の新戦力候補・筆頭は奥川雅也に川辺駿 層の薄いアンカー、SBで注目したいのは…
posted2022/03/30 12:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
カタールW杯の出場権を獲得した3月24日のオーストラリア戦後、安堵した様子で取材対応に臨んでいたキャプテンの吉田麻也が、このときばかりは表情を引き締めて言った。
「ここからカタールW杯に向けての準備が始まるし、予選を戦った選手と本戦を戦う選手はかなり変わる。また1からポジション争いが始まるし、もしかしたら次、これまでとはまったくメンバーが変わるかもしれない」
その言葉どおり、5日後のベトナム戦から、8カ月後のW杯に向けた競争が始まった。
森保一監督も宣言していたように、ベトナム戦では最終予選で出番の少なかった選手たちに出場機会が与えられた。オーストラリア戦から吉田麻也、山根視来を除く9人が入れ替わり、柴崎岳、原口元気、上田綺世、久保建英、旗手怜央、川島永嗣ら新鮮な顔ぶれがピッチに立った。
もっとも、これだけメンバーが変わると、チームとして積み上げてきたものもゼロに近くなる。とりわけ前半は連係らしい連係が見られなかった。
攻撃が形を成すには、田中碧、守田英正、南野拓実ら、“いつものメンバー”がピッチに入る60分過ぎまで待たなければならなかった。
吉田「ある程度のミスや連係不足は予測していましたが」
「これだけメンバーが変わって最初からパンパンパンパンうまくいくことはない。だから、ある程度のミスや連係不足が出ることは予測していましたけど、それにしても前半は良くなかったな、と」
そう振り返ったのは、吉田である。
本来、控え組を試すなら、“いつものメンバー”7~8人の中で起用してこそのテストだろう。
しかも、ベトナム戦は一見、消化試合のようでいて、W杯本戦での戦いに影響を与えるかもしれなかった。
4月1日に行われる組分け抽選会では、出場32カ国がFIFAランクに応じて第1~4ポットに振り分けられる。日本は現在23位。ベトナム戦に勝利して順位を上げれば、第2ポットに入る可能性があり、グループステージ突破の確率を高められたかもしれない。
しかし、だからといって、メンバーを大幅に入れ替えた森保監督の判断を否定できない。