ずっと目標としていた平昌五輪でも、初めての大舞台という重圧をものともせず、会心の演技を見せて自己ベストを更新して4位入賞を果たした。ふだんは試合でも控えめな宮原はフリーの演技が終わった瞬間、両手を力強く突き上げ、全身で納得のいく演技ができた喜びを表現した。

　長年積み重ねてきた努力の末に、危機を乗り越えてたどり着いた瞬間だ。その光景もまた、忘れがたい。

氷上の人としての歩みはこれからも止まらない

　今シーズンは、グランプリシリーズで7位と5位。全日本選手権でも5位となり、目指していた北京五輪代表に届かなかった。昨年12月に四大陸選手権の代表に選ばれたがその後に欠場を決定。そしてこの日の引退発表となった。

「今シーズン、スケート人生で1番、自分と向き合い、毎日を大切に過ごしてまいりました。これまで以上に、もうこれ以上はできないと納得いくまで練習し、試合に臨んだシーズンでした。私の中で悔いはなく、やりきったという気持ちでいっぱいです。」

　これまでのように、日々真摯に過ごしてきたからこそ、「やりきった」と思えたのだろう。　

　引退した今、夢はたくさんあるというが、まずはプロフィギュアスケーターとして頑張っていきたいと記している。

　その第一歩となるのは大阪と東京で行なわれる「スターズオンアイス」だが、新たな話についても報告している。

「この度、スターズオンアイス・カナダツアーへ日本人で初めて全公演キャストメンバーとして出演させて頂くことが決まりました。このようなチャンスをいただくことができ、本当に感謝しています。私にとって最高の誕生日プレゼントです！」

　氷上の人としての歩みはこれからも止まらない。選手としてスケートに向けたエネルギーをプロスケーターとなっても注ぐはずだ。

　真似るのは容易ではないレベルで努力をする姿を見せ、あらためてその大切さを伝えた宮原知子は、きっと、新たな魅力を加えた作品も見せてくれるはずだ。

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