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“同じ年に生まれた2人の天才”浅田真央とキムヨナ…フィギュア史に残るライバル物語「真央はいつも笑顔で、ヨナは真剣な表情だった」
posted2022/03/23 20:00
text by
タチアナ・フレイドTatjana Flade
photograph by
Getty Images
〈初出:2014年1月30日発売号「マオとヨナの最終章 『彼女が私を、強くした』」/肩書などはすべて当時〉
2人の“天才少女”が出会ってから、10年が経つ。どちらも順風満帆だったわけではない。それでも、視線の先に互いの姿があったから、走り続けてこられた。彼女たちの紡いできた物語とは――。(翻訳:松坂彰子)
一体、誰が忘れることなどできるだろう?
フィギュアスケートでは、今でも人々に語り継がれる偉大なライバル関係とその逸話がいくつも残されてきた。
例えば'88年カルガリー五輪。
米国のブライアン・ボイタノとカナダのブライアン・オーサーが金メダルを競り合った男子の「ブライアンの戦い」。女子では、東ドイツのカタリナ・ヴィットと米国のデビー・トーマスが繰り広げた「カルメンの戦い」があった。
あるいはアレクセイ・ヤグディンとエフゲニー・プルシェンコのように、どちらも同じロシア人だったこともある。イリーナ・スルツカヤとミシェル・クワンの、勝ったり負けたりだった友好的なライバル関係もよく知られている。
浅田真央とキム・ヨナのライバル物語は疑いようもなく、これらの過去の偉大なストーリーに連なるレベルのものだ。2人の抜きん出た才能を持つ選手が、たまたま同じ時期に国際試合の舞台に登場したのは、奇跡のようでもあり、また運命のようなものなのかもしれない。
始まりは2004年秋。同じ13歳、2人の天才少女
始まりは、'04年秋のことだ。この年、浅田真央もキム・ヨナも、13歳でジュニアグランプリシリーズに初参戦した。ヨナは9月5日生まれ、真央は9月25日生まれと、年齢までほとんど同じだった。
真央の初戦は、カリフォルニアのロングビーチで行なわれた。私が彼女の試合を見たのはそれが初めてのことだった。注目された3アクセルこそ回転不足だったが、真央は美しい演技を滑りきってみせた。一方、ヨナはブダペストの大会が初戦だった。2人ともそれぞれの試合で圧勝。
実は、ヨナの勝利は予想外のことだった。韓国からの選手がこのような好成績を収めたのはフィギュアスケートでは初めてのことだったからだ。だが、今思えば、これは2人の戦いにおいて、まだまだほんの序の口だった。
2人は揃って'04年12月にヘルシンキで開催されるジュニアGPファイナルに進出し、初めて顔を合わせた。