「過去といちばん違うところは、やっぱりやる気。ずっと辞めたい、辞めたいって嫌々やってきたけど、日本代表にまでなれた。だから、このやる気が自分の可能性をどこまで広げてくれるんだろう、ということを楽しみに、今は練習を頑張っています」

「お父さんのところではもう完全燃焼したかな」

　今はトレーニングを栃木ダイビングクラブというチームで行い、所属となるミキハウスに競技面のサポートしてもらえることとなった。

「復帰するときの練習場所の候補としては2つありました。ひとつはお父さんがいるJSS宝塚。でも、お父さんのところではもう完全燃焼したかな、と思っていて。せっかく新しいスタートを切るので、自分の飛びたいイメージを大切に練習したいな、と思って、違う環境を選びました」

　それで選択したのが、栃木だった。ちょうど新しい施設ができ、飛込競技のトレーニング環境としては日本最高峰と言っても過言ではない環境を有している。ここには東京五輪代表の榎本遼香や、男子飛板飛込の須山晴貴らがいる。現役時代にシンクロ種目でペアを組んで戦ってきた辰巳楓佳も、練習をする施設のスタッフとして働いていた。

「それは本当に偶然なんですけど。ふたりで『面白いもんやな』って笑い合っていました。辰巳さんは小さいころから一緒で。自分の弱いところもクセも、身体のこともよく知ってくれているので、いろいろ相談しています。指導していただいているコーチの指導力も素晴らしいのですが、辰巳さんの指導力もすごいと感じているので、時々アドバイスをもらっています」

復帰を知った仲間から「飛込って楽しいやろ！」

　また、JSS宝塚時代から共に戦ってきた寺内健（ミキハウス）にも復帰の報告したときには、こんな声をかけられたという。

「やっぱり楽しいやろ？　って。寺内選手も一度引退して復帰されていて。長く選手を続けていますけど、『飛込って楽しい』という話をしていると、感じることは一緒なんだろうな、って思いました」

　また、元飛込の五輪選手で、JSS宝塚でコーチとして子どもたちを指導している恩師の馬淵かの子さんにも復帰の報告をした際、寺内さんと同じように「飛込って楽しいやろ！」と言われた。

「かの子さんも1964年の東京五輪後に引退されて、子どもを産んでから現役に復帰された経験のある方なんです。そんなかの子さんに『何もかも忘れて没頭できる環境って、楽しいやろ』と言われて、確かにそうだな、って思ったんですよね。自分の恩師でもあるかの子さんと同じ境地にいけた、というのはとてもうれしいです」

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