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「旦那ありきの世界で楽しんでいる感覚でした」馬淵優佳27歳が激動の1年で見つけた“自分の世界を楽しむ生き方”

posted2022/03/28 11:02

 
「旦那ありきの世界で楽しんでいる感覚でした」馬淵優佳27歳が激動の1年で見つけた“自分の世界を楽しむ生き方”<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

昨年末、4年ぶりの電撃復帰を発表した馬淵優佳(27歳)。なぜ“今”、現役復帰を選んだのか

text by

田坂友暁

田坂友暁Tomoaki Tasaka

PROFILE

photograph by

Yuki Suenaga

2021年12月、石川県で行われた中田周三杯で飛込競技への電撃復帰を果たした馬淵優佳(27歳)のインタビュー。一度目の現役時代、アスリートの妻・2児の母として家庭を支えた専業主婦時代、そして第二のアスリート人生を歩むと決断した2021年――。全ての想いを語った(全3回の3回目/#1#2から続く)。

「本当に学びしかない1年でしたね。競技しかやってこなかった、自分を中心に見ていた世界とまたちょっと違う、いろいろなものが見えるようになった年でした」

自分の居場所が家庭にしかない

 2021年は馬淵優佳にとっては、自分の気持ちにも、環境にも様々な変化があった、まさに激動の1年だった。「1年が1カ月に感じる」。はじめて人に取材をする立場になって、伝える側の経験もした。女優業やバラエティーも含め、スポーツとは別のチャレンジもできた。それらの経験によって、「私が今まで過ごしてきた世界は、どれだけ狭かったのだろう」と大きな気づきを得た。

 仕事を通して出会った方々は、家事も育児もやりながら、自分がやりたい仕事にも全力を注いでいた。そういう生き方をしても良いんだ、ということに衝撃を受けた。

 何の疑いも持たず、自分自身すらそれが正しいと信じ続けてきた、アスリートの馬淵優佳という生き方、アスリートを支える馬淵優佳という生き方、そして母親としての馬淵優佳という生き方が、良い意味で崩れ去った瞬間だった。

「ずっとスポーツ選手としてやってきて、すぐに結婚して夫を支えると決めて家庭に入りました。だから、どこか社会に出ていない、ということにコンプレックスもありましたし、自分の居場所が家庭にしかないな、と感じることもありました」

「馬淵優佳の生き方」を決めつけている自分がいた

 結婚したら夫を全力で支え、子どもにすべてを捧げることが当たり前のことだと思っていた。事実、馬淵の母は父である崇英コーチを支え、馬淵自身の選手生活を全面的にサポートし続けてくれていた。

「それが私にとっての母親像だったんです。だから、結婚して子どもができたら自分もそうしないといけない、という考えを持っていました」

【次ページ】 「私は本当に母と同じ生き方がしたいのか?」

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