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《センバツ》沖縄から雪国に進むと聞いて不安だったけど…星稜のエース・マーガード真偉輝キアンを成長させた“辞退した先輩の帽子”
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2022/03/22 06:00
侍U-15代表に選出され、中学生離れしたピッチングを披露していたマーガード真偉輝キアン(2019年)。いよいよ甲子園デビューを迎える
高校で、心身両面でたくましく成長できたのは昨年のエースだった野口練(近畿大進学)の存在が大きい。
「野口さんからはたくさんアドバイスをいただきましたし、厳しい冬の練習の時も引っ張ってもらっていました。昔、得意ではなかった走り込みをやるようになったのも、野口さんの影響が大きいです。よく走る方なので、そこについていっているうちに段々と自分も走れるようになってきました」
そんな恩人から思いを託されたのが昨秋だった。昨夏の星稜は甲子園出場を目指し勝ち進んでいたが、石川大会準々決勝を前に複数の野球部員が新型コロナウイルスに感染したことで辞退に追い込まれた。
「ずっと甘えさせてくれて可愛がってくれていた3年生の方たちと一緒に野球をできなくなるとなり、頭が真っ白になりました」というマーガードは、野口が被っていた帽子を「来年はお前がチームを引っ張っていくんだぞ」という激励とともに受け継いだ。
ツバの裏には野口が書いていた「克己心(自分との戦いに打ち勝って成長する)」の文字。
「野口さんが克己心のある方だったので、自分もこの言葉を受け継いで、練習からエースとしてやっていきたいなと思いました」との言葉通り、チームを引っ張る存在になっていった。