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“因縁の再戦”で3回KO勝ちを収めた寺地拳四朗の大変身… リベンジ成功の理由を参謀役が激白「ジャッジまかせにはしたくなかった」 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byNaoki Fukuda

posted2022/03/21 17:02

“因縁の再戦”で3回KO勝ちを収めた寺地拳四朗の大変身… リベンジ成功の理由を参謀役が激白「ジャッジまかせにはしたくなかった」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

地元・京都で行われたダイレクトリマッチに勝利し、矢吹正道からベルトを奪還した寺地拳四朗。試合後には涙を流しながら喜びを語った

 拳四朗は練習通り、初回からグイグイと前に出て矢吹にプレッシャーをかけていった。矢吹もすかさずジャブ、アッパーをカウンターで打ち込んでこれを止めにかかるが、拳四朗の勢いはまったく止まらない。2回も前に出て右ストレートを決めると、もはや矢吹は迎え撃つというより、下がりながら対応するのが精一杯になっていった。

 迎えた3回、拳四朗は左ボディを効かせ、さらに前に出て右ストレートを打ち込むと、これがドンピシャで決まって矢吹が背中からキャンバスに落下した。拳四朗は満面の笑みでガッツポーズ。信じられないといった表情の矢吹は立ち上がったものの、フラつく王者を見た主審がそのまま10カウントを数え上げた。

敗れた矢吹「あんなにインファイトしてくるとは…」

 それにしても、これだけあっさり勝負がつくと予想していたのだろうか? そう問うと、加藤トレーナーは次のように答えた。

「打ち合いが激しくなって消耗戦になるというイメージはありました。矢吹くんは前回の試合でも、接近戦でうまく腕を折りたたんでアッパーを打ったり、フックで回してきたり、打ち合っても強い。そうなったときに絶対に打ち勝つという覚悟で練習をしてきました。それがああいう形で終わった。おそらく矢吹くんにしてみると(打ち合うという)意を決する前に終わっちゃったという感じだと思います」

 矢吹は試合後、「あんなにインファイトしてくるとは」と繰り返し口にした。一方の拳四朗は「加藤さんの言うことを信じた。倒すつもりだった」。雪辱に燃える前王者はスタートからチャンピオンを飲みこみ、矢吹が立て直すいとまを与えずにフィニッシュしたのである。

 加藤トレーナーがあらためて言う。

「今回は相手を気にせず自分がブレないように、ということを第一に考えました。それができたと思います。でも、正直なところプレッシャーは前回と比べものにならないくらいありましたね。結果が出て、本当にホッとしています」

 敵の裏をかく大胆にして理にかなった戦術と、それを体に染みこませてリングの上で遂行できる実行力。トレーナーとボクサーの絶妙なコラボレーションが、パーフェクトな雪辱という最高の結末を引き寄せた。

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