靭帯断裂の大ケガから飯田沙耶が復帰

　3.11品川大会では、復帰戦を行なった選手もいた。右ヒザの負傷で約1年、リングから離れていた飯田沙耶だ。

　ジャンピング・ダブルチョップの着地で足をひねり、靭帯断裂。手術を経てのリハビリは、曲がったヒザを伸ばして丸めたタオルを潰すところから始まった。

「モチベーションはかなり下がりました。何のためにジムに行ってるんだろうって思う時もありましたね」

復帰戦での飯田沙耶。入場ゲートで咆哮し緊張が解けたという　©Norihiro Hashimoto

　上半身からトレーニングを再開したが、下半身は以前のように重いものを上げられない。それは「キャラ」の危機だった。

　飯田のキャッチフレーズは“マッチョ・ゴリさん”。身長は低いがバルクアップした肉体はひと目見て記憶に残る。憧れの選手は新日本プロレスの石井智宏。パワーと頑丈さ、質実剛健のファイトぶりは確かに石井ばりだ。

「自分の知ってるスターダムじゃない」

　なのに、ケガで筋肉が落ちた。しかも欠場期間中、スターダムにどんどん選手が増えていく。自分が返上したフューチャー・オブ・スターダムのタイトルホルダーも目まぐるしく移り変わった。

「流れが速すぎて、自分が知ってるスターダムじゃないみたいな気がしてました。復帰というより、違う団体でデビューするくらいの感覚もあります」

復帰前には「違う団体でデビューする感覚」だと本音を語っていた飯田　©Norihiro Hashimoto

　試合前にはそんな言葉も口にしていた。けれど頼もしいタッグパートナーがいた。復帰戦で組んだのは現フューチャー王座の羽南。飯田が欠場すると、入場時のパフォーマンスであるゴリラのドラミングポーズを引き継いで使い続けた。「流れが速いスターダムで、自分が忘れられないようにして、帰る場所を作ってくれていた。ありがたかったし、タッグを組むことができるのは嬉しいです」と飯田。

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