スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
日本企業のデザインで進む“バルサのカンプノウ改築”建築士に直撃!「100年先を見越した計画へ」「再開発には5つのプロジェクトが…」
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/03/21 11:00
特別にカンプノウで撮影した日建設計のメンバー。“新カンプノウ”はどんなものになるのだろうか
野村「レファレンダムの前に、10月23日にアッセンブリーという選ばれたソシオによる間接民主制投票があったのですが、その際に2016年のコンペ当選後に作成した模型を我々で修繕し、変更案に合わせた形にしたものをアッセンブリーの会場に設置しました。現在はバルサミュージアムに設置してあります。それがソシオに非常に好評だったようで、アッセンブリー、レファレンダム共に無事通過することに少しは貢献できたのかと思います」
――既に着手している工事にはどのようなものがあるのでしょう。
野村「エスパイ・バルサ計画と名付けられたFCBの再開発には5つのプロジェクトがあります。1つ目が郊外にあるヨハン・クライフ・スタジアムで、既に完成しています。2つ目がカンプノウの敷地の周辺整備。それを今まさにやっていて、スタジアムの北側の道路の位置を少し外側にずらしています。そうやって敷地を広げないとスタジアムの拡張部分が入らないんですよ。これはもうすぐ終わる予定です。3つ目が、我々が関わっている新カンプノウ計画。4つ目がカンプノウに隣接するパラウ(体育館)で、5つ目がホテルやオフィスなどのキャンパス計画。この5つがエスパイ・バルサです」
伊庭野「エスパイ・バルサは玉突き方式になっています。まず、郊外にヨハン・クライフ・スタジアムができたので、カンプノウの隣接地にあったミニエスタディを壊しました。その跡地に現在はカンプノウの敷地内にあるパラウを新設する工事があり、それが終わると今パラウがある場所にホテルやオフィスが建てられる予定になっています」
風間「スタジアムの準備工事としては、全ての電気系統の配線を1階のコンコースの上の部分に集める工事を3年前に行いました。このスタジアムは増築を繰り返してきているので、配線をいろんなところに好き勝手に増やしていたんですね。それをバシッと一発ルートを通して、そこを軸にいろんな展開ができるようにしようという工事を最初の段階で行いました」
工事中のホームゲームはどうやって運営していく?
――工事中はどのようにホームゲームを運営していくのでしょうか。モンジュイックのオリンピック・スタジアムを使用することも検討しているようですが。