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「青学生にとって箱根駅伝は五輪と同じ」「彼らとは“筋肉の名前”で会話ができる」トレーナー・中野ジェームズ修一が語る“青学イズム”の真髄 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/03/16 17:03

「青学生にとって箱根駅伝は五輪と同じ」「彼らとは“筋肉の名前”で会話ができる」トレーナー・中野ジェームズ修一が語る“青学イズム”の真髄<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

10区を区間新記録で駆け抜けた青山学院大学3年生の中倉啓敦。同選手も早くから中野ジェームズ修一氏が考案した新メニューに取り組んでいた

 昨年4月から、中野は希望する選手たちに新メニューを授けた。トレーニングは3カ月を1クールとして、徐々にレベルを上げていくことが一般的だ。中野自身も「最低2クールは行わなければ」と考えていたが、最初の3カ月間が終わると、チームは夏合宿に突入する。厳しい走り込みが始まれば、負荷の大きな筋肉強化トレーニングを続けるのが難しくなる恐れもあった。選手の自主性を重んじる青学では、トレーニングの強制はできない。実際、トレーニング量を落とす者もいた。同時に、当初は躊躇していた学生が「僕もやりたい」と参加し始めるようにもなっていた。

「4月から始めた学生たちの2クール目が終わったのが9月でした。10月の出雲駅伝、11月には全日本大学駅伝、そして12月と、厳しいスケジュールのなかで3クール目も続けてくれた選手が、今回の箱根で爆発的に走れたんです。実際、出雲駅伝のときは疲労が残っている選手も多かった。全日本のときもまだ疲労が解消していなかった。それでもどちらも2位だったので『勝負の箱根は行けそうだ』と。12月になったころから主力選手の疲労が抜けて、作った筋肉が走りに適合するようになりました」

 箱根駅伝で快走した主力選手の多くは、4月からトレーニングを開始。3クールをやり終えたことによって大きく進化し、成果を残した。

「今までとは180度違うトレーニングメニューを提示したわけですから、選手が戸惑っても仕方がないと思います。それでも『やってみよう』という空気感はありました。ひとりで来る学生はほとんどいなくて、たいてい仲の良い学生同士が連れ立って来るんです。かわいらしいじゃないですか(笑)。岸本大紀(3年生/7区区間賞)と中倉啓敦(3年生/10区区間新)もふたりで一緒に来ました。きっとひとりだと不安もあるんだと思います。

 学生たちは本当にかわいいですよ。『僕の父親より、中野さんのほうが年上ですね』とか言われると腹が立ちますけど(笑)。うわべだけで仲良くしたりせず、『絶対にお前を抜いてやる!』みたいな感情もむき出しにする姿が人間らしいなと思います。彼らにとって、箱根駅伝はオリンピックと同じくらい大きなものなんです」

【次ページ】 青学大の方針は「一種のカルチャーショック」

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