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藤井聡太“最年少名人”のチャンスは1回だけ… 60年で9例の「初の順位戦A級→1期で名人戦挑戦」羽生善治、谷川浩司以外だと誰?
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph byKyodo News
posted2022/03/16 11:00
藤井聡太五冠が19歳にして挑む順位戦A級。果たして「最年少名人」への道はつながるか
ここ近年では斎藤慎太郎、稲葉陽、佐藤天彦が
新A級棋士が1期目で名人戦の挑戦者になったのは、過去60年で9例ある。戦績を含めて列記する。※年齢は名人戦第1局の時点。
1965年・山田道美八段(31)
大山名人に1勝4敗で敗退
1978年・森けい二八段(31)
中原名人に2勝4敗で敗退
1983年・谷川八段(21)
加藤名人に4勝2敗で勝利
1994年・羽生棋聖(23)
米長名人に4勝2敗で勝利
1995年・森下卓八段(28)
羽生名人に1勝4敗で敗退
1996年・森内俊之八段(25)
羽生名人に1勝4敗で敗退
2016年・佐藤天彦八段(28)
羽生名人に4勝1敗で勝利
2017年・稲葉八段(28)
佐藤名人に2勝4敗で敗退
2021年・斎藤慎太郎八段(同27)
渡辺明名人に1勝4敗で敗退
これらの9例のうち、谷川、羽生、佐藤が名人を獲得した。
藤井五冠は来期のA級順位戦で、次の棋士たちと対戦する。
渡辺名人または斎藤八段(今期名人戦の敗者)、糸谷哲郎八段、佐藤天彦九段、豊島将之九段、広瀬章人八段、永瀬拓矢王座、佐藤康光九段、菅井竜也八段、稲葉八段(※順位上位から)。
藤井は、この10人の棋士たちとの公式戦の対戦成績で、いずれも勝ち越している。全勝でなくても、9局のうち7勝すれば挑戦者争いに加われるだろう(同成績の場合はプレーオフ)。
藤井が来年に名人戦の挑戦者になり、時の名人との七番勝負を制すれば、谷川の21歳2カ月を更新して、最年少記録の20歳10カ月ぐらいで名人を獲得する。
藤井五冠の師匠の杉本昌隆八段は、「今の内容、充実度からすれば、八冠の可能性は3年以内」と予測している。
藤井にとって、それには名人を獲得することが最大の問題となる。
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