「羽生（善治）先生に“小高さん中飛車党だもんね”と言われて…」21歳女流棋士が語る“将棋での喜び”「西山朋佳さんは昔も今も憧れですが」

　小高佐季子女流初段は5歳の頃に将棋を始め、10代にして女流棋士としての道を歩み始めた。自身の研鑽とともに、将棋普及にも熱心で、各種イベントなどにも積極的に参加している。

©Shigeki Yamamoto

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　その1つとして2022年に急遽参加することになったのは「ねこまど将棋まつり」というイベントである。毎年8月に行われる同イベントは将棋ファンに人気が高いが、当初出演予定だった山根ことみ女流二段――小高さんと仲良しで知られる――が体調不良で不参加となった。そこで小高さんが代役出演することになったのだが、山根女流二段以外にも森内俊之九段も欠席となった。

羽生先生と戸辺先生が席上対局をすることになり

　そこで代役を務めたのが、羽生善治九段だった。

　人気の高い森内九段や山根女流二段の回復を祈りつつも、将棋界のスーパースターの緊急出演によって同イベントは盛況だったそうだ。

　その中で小高さんも羽生九段から“僥倖”を得たそうだ。

「羽生先生と戸辺誠先生が席上対局をすることになり、私が聞き手を務めました。すると戸辺先生が中飛車（※飛車を5筋に振る戦型）を指されたんです。

　私自身が中飛車を用いるので〈戸辺先生の中飛車を見られてうれしいです〉と話した瞬間、羽生先生が〈小高さん、中飛車党だもんね〉とおっしゃってくれたんです。私の将棋をまさか知ってくれているとは思っていなかったので、すごく感動したのを覚えています」

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羽生先生は誰に対しても穏やかに接してくれて

　小高さんと同じようなエピソードを、高見泰地七段から聞いたことがある。〈タクシーに同乗した際の運転手との会話の中で、羽生先生から“高見くん”と認識していただいていたことが本当にうれしかったんです〉というものだ。高見七段はタイトル経験者なので本人の謙遜もあると思うが――女流棋士の小高さんの得意戦型も、羽生九段の頭の中にはしっかりと入っているという証左だ。

「もちろん私は飛び上がるほど喜びたかったですし（笑）、高見先生もそうだったとお聞きすると……誰もが羽生先生にそのように声をかけられたら、本当にうれしいのではないでしょうか」

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