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「二刀流でシーズン完遂」のウラに“大谷翔平流ルーティン”…元メジャーリーガー岩村明憲が指摘「打率も打点も勝ち星も防御率も1位になりたいんじゃないかな」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byGetty Images

posted2022/03/22 11:03

「二刀流でシーズン完遂」のウラに“大谷翔平流ルーティン”…元メジャーリーガー岩村明憲が指摘「打率も打点も勝ち星も防御率も1位になりたいんじゃないかな」<Number Web> photograph by Getty Images

今シーズン、大谷翔平はさらなる飛躍なるか? 昨季の活躍を岩村明憲が分析した

 一方で白熱戦を演じたソトは、延長にもつれ込んでからも、センターへいい当たりのホームランを叩き込んでいました。ああいう打球を打つことがスイングの修正にもなり、大谷君と対照的に後半戦は本塁打数、打率ともに伸ばしてきました。

 もちろん後半戦、クセに手を焼きながらも何とか本塁打にできていたのは、大谷君のパワーであったり、遠心力を上手く使う技術あってこそです。ただ、少し打球方向をセンターへと戻すことができていれば、ホームラン王も獲れていたのではないかと思いますし、そこが来シーズンへの期待でもあります。あれだけペースダウンしても46本打ったのは素晴らしいことですから。

前半戦と後半戦で変わった「投手・大谷」

「投手・大谷」としてのこの1年は、今後に向けてのいいステップになったと思います。成績は登板23試合で9勝ですが、打撃の援護があれば2桁勝利はもちろん、勝ち星はもっと増えていたでしょう。故障明けという状況のなか、低迷しているチームでも9勝を挙げられたことは大きい。

 僕は打者ですが、投手という生き物は誰もがまず「打者27人で試合を終わらせる」ことを理想にすると思うんです。そこから、「27個の三振をとる」ことや、「27球で終わらせる」ことを目指していく。前半戦の大谷君は、フォーシームとスプリットで三振を奪っていく「27個の三振をとる」ことを目指したピッチングでした。ところが、後半戦はカットボールやスライダー、カーブなど球種を増やした。こちらは「27球で打ち取る」ことを目指すピッチングです。

 バッテリーを組んでいたカート・スズキとコミュニケーションをとって組み立てていたのだと思いますが、中継ぎ陣が弱いチーム事情から、球数を減らして少しでも長いイニングを投げたいという意識もあったでしょう。投手として色々な顔が見られたこと、ピッチングの引き出しを増やせたということは必ず今後につながるはずです。

二刀流でシーズン完遂の背景に…

 今年は“リアル二刀流”のシーズンでした。110球前後投げた翌日に、スタメンに名前を連ねる、ということが一番凄いこと。野手だけやっていても155試合出続けるのは容易ではない。それを、登板しながら野手としても出場を続け、タイトル争いまで演じたわけです。欠場はわずか4試合で、そのうち1試合はダブルヘッダーの1試合目(5月20日、対ツインズ)だったのですから、これは驚異的なことです。

【次ページ】 現役時代に大谷と対戦していたら…

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