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W杯への大一番を前に…遠藤航が戸田和幸と語ったボール奪取力の極意 ブンデスでのデュエル1位は「正直、自分でも驚きましたね」
posted2022/03/13 11:01
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Sugiyama
特設スタジオに設置されたスクリーンに、ドイツにいる遠藤航の姿が映し出される。スクリーン脇に設置されたカウンターチェアには戸田和幸氏の姿があった。
2月28日にオンラインで行われたNumberプレミアムトークライブVol.2。日本代表不動のボランチに、ナンバーワン解説者との呼び声高い元日本代表が、1時間半たっぷりと話を聞いた。
「まずは直近2試合の話を。吉田(麻也)・冨安(健洋)という2センターバックがいない状況で、どのような気持ちの準備や、それまでと違った働きかけがあったんですか」
のっけから日本代表の核心に戸田氏がぐいぐいと迫る。22年1月、2月の中国戦、サウジアラビア戦ではレギュラーセンターバックがいずれも負傷で招集できない緊急事態。板倉滉と谷口彰悟の即席コンビが先発したが、アンカーの立場で、どのようなことを考え、どうサポートしたのか、というわけだ。
「アジアの戦いではボールを持つ展開が多いので、後ろのマネジメントが重要になる。だから、どう守るかというところのコミュニケーションは、練習からけっこう取っていました」
冨安・吉田と板倉・谷口でのビルドアップ時の変化とは
さらに、「冨安・吉田と板倉・谷口では特徴の違う部分があると思うが」と切り込んだ戸田氏に対し、遠藤がビルドアップ時の変化について言及する。
「2人(板倉と谷口)ともビルドアップのときに顔を上げて縦に入れたり、持ち運ぶ意識が高い。個人的にはボールを引き出すというより、2人に縦パスを入れてもらって、自分はある程度真ん中のところに立って、ディフェンスラインに落ちることもせず、バランスを取る感覚でやっていました。そこは(吉田・冨安とプレーするときとは)ちょっと違う部分だったのかなと思います」
22年2月1日のサウジアラビア戦での勝利によって、日本代表はカタールW杯アジア最終予選で5連勝を飾り、W杯出場に王手をかけた。
しかし、その道のりは極めて険しいものだった。
「焦りは正直なかった」と遠藤航が語る根拠
21年9月に行われたオマーンとの初戦を0-1で落とすと、10月のサウジアラビア戦も0-1で敗戦。3試合を終えた時点で早くも2敗と追い込まれた状況で、ホームのオーストラリア戦を迎えた。
「プレッシャーとか、心理的な部分も含めて、どんな状況でしたか」と戸田氏が尋ねると、遠藤は「焦りは正直なかった」と明言した。