Overseas ReportBACK NUMBER
衝撃的だった“ロシアのパラ参加容認”…急展開で“除外”を決定づけたのは「ラトビア代表のボイコット宣言」だった
posted2022/03/11 17:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
AFLO
ロシアがウクライナへ軍事侵攻し、世界が大きく揺れ動く中で開幕した北京パラリンピック大会。五輪、パラリンピック期間中は「オリンピック休戦協定(今大会は五輪の開幕1週間前からパラリンピック閉幕1週間後まで)」が結ばれているにも関わらず、ロシアはウクライナへの攻撃を続けている。
パラは一時参加を容認「直前で2カ国を除外するのは難しい」
五輪後からパラリンピック開幕までの国際スポーツ界の対応を簡単に振り返ってみたい。
2月24日 ロシアがウクライナ侵攻を開始
2月28日 IOC(国際オリンピック委員会)はロシアと、同盟関係にあるベラルーシの選手を国際大会に参加させないよう、国際競技団体や大会主催者に勧告
同日 FIFAはW杯予選プレーオフからロシア除外を発表
3月1日 国際フィギュアスケート連盟は3月末の世界選手権からロシアとベラルーシの除外を発表
3月2日 IPC(国際パラリンピック委員会)は北京パラリンピック大会にロシアとベラルーシの参加を容認
3月3日 IPCは2カ国を北京パラリンピックから除外
3月4日 北京パラリンピック開幕
各スポーツの国際競技団体がロシア、ベラルーシ除外の決定を下す中、IPCはこの2カ国の参加を当初認めるという驚きの決定をした。「直前で2カ国を除外するのは難しい」、「IPCのオフィスがあるドイツの法律に従ってこの決定をした」などの理由は、曖昧で説得力に乏しかった。納得した人は多くはないだろう。
IPCがこの未曾有の事態においてもスポーツと政治を切り離すべきと考えたのか、この2カ国を参加させることで五輪休戦が遵守されると期待したのか、それとも北京大会の組織委員会、つまり中国側の意見が反映されたのか、真偽の程は不明だ。
パラ開幕直前に“不可解だった”中露の不審な動き
中露の関係で気になることがある。
まずロシアが、パラリンピックの選手村が開く25日朝にはすでに入村し、午前中には練習を行っている点。ロシアがウクライナに対して軍事侵攻した際には、ロシア代表はすでに国を離れていた可能性が高い。
ロシアパラリンピック委員会(RPC)は、同じ25日にIPC会長宛にこのような声明を発表している。
「このような現状、またウクライナ代表の北京入りが困難な状況を遺憾に思っています。ウクライナの選手たちの成功を心から願っています」
政府のことは我関せず、という感じなのだろうか。
また、ほとんど報道されていないが、2月28日にロシアは中国とパラアイスホッケー(別称アイススレッジホッケー)の親善試合を行っていて、その点も不可解だ。