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村田諒太にゴロフキン陣営が提示した「ふたつの条件」とは?「これ以上は待てない」“日本ボクシング史上最大”のビッグマッチ実現の裏側
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byJun Shibuya
posted2022/03/05 17:01
一度は昨年12月29日と発表された村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキンだったが、オミクロン株感染拡大の影響で延期に。消滅危機も噂された統一戦が、いよいよ4月9日に行われる
実際に村田はこの日、「これ以上先と言われたら、さすがに僕ももたないと思う」と心境を明かし、次のように説明した。
「耐えてる感じ、ずっと我慢している感じじゃなかった。ここに目標があるぞ、いけ! と言われてバーッと走って、目標が幻だと分かってまたバーッと走っての繰り返しという感じだった。ずっと空気椅子だったらつらいけど、お宝があるので走れと言われたら人間は走れる。ただ、ずっと走ってきたのでバテてきたのはある」
こうして村田は内なる自分と対峙しながら2年間を過ごしてきた。メリットもあった。この2カ月で「スパーリングを多く積めた」のは最大の収穫だ。パートナーのアドリアン・ルナとホセ・デ・ヘスス・マシアスの2人のメキシコ人は昨年11月から日本に滞在。村田が「彼らのストレスとダメージは相当たまっているはず。感謝しています」と語るように、クリスマスにも母国に帰らなかったメキシカンの献身的なサポートは心身ともに大きな助けとなったことだろう。
「ファイトプランがある」村田の表情に感じた自信
さあ、これで国内史上初となるミドル級王座統一戦は完全にフィックスされた。試合の行方を問うと、実に頼もしい答えが返ってきた。
「僕が(距離を)詰めていくと思います。それに彼がどう対応するかだと思う。ファイトプランがあるので、あまりしゃべりたくないんですけど」
あらゆる質問によどみなく答えていた村田が初めて答えを短く切った。その表情には自信と、本物と拳を交える喜びが感じられた。延期によってスパーリングが増え、結果、ファイトプランがより明確になったということだろう。村田とゴロフキン。ボクシングファンが待ち望んでいたファイトがいよいよ1カ月後にゴングとなる。
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