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村田諒太にゴロフキン陣営が提示した「ふたつの条件」とは?「これ以上は待てない」“日本ボクシング史上最大”のビッグマッチ実現の裏側 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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posted2022/03/05 17:01

村田諒太にゴロフキン陣営が提示した「ふたつの条件」とは?「これ以上は待てない」“日本ボクシング史上最大”のビッグマッチ実現の裏側<Number Web> photograph by Jun Shibuya

一度は昨年12月29日と発表された村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキンだったが、オミクロン株感染拡大の影響で延期に。消滅危機も噂された統一戦が、いよいよ4月9日に行われる

「ボクシングを一つのエンタテインメントと考えるなら、気持ちが外に向くことが多い。勝ったとか、目立ったとか、稼いだとか。彼はそうではなく、卑怯なことをしないとか、正直でいるとか、自分の内側と向き合える強さがある。リスペクトできる選手。外でいくら稼いでいるといっても自己肯定感が持てない。彼のおかげで自分の内側と向き合いながら最高の状態に向かうことができる」

本田会長「これ以上延期になったら村田がもたない」

 それにしても村田は待った。前回のスティーブン・バトラー戦が2019年12月だから、もう2年以上も試合をしていない。この間、試合が決まりかけては延期を繰り返し、一度は試合用のTシャツまで作ったこともあった。

 1月に36歳になった村田はこの2年間の心境を次のように話した。

「気落ちする期間もあったし、一定のモチベーションを保ち続けたわけではない。いい形で揺れながら、モチベーションが高いときも低いときもありながら過ごしてきて、最終的にはいい状態が作れた。延期という期間が自分を高めてくれたと思う」

 さらに詳しい説明を求められるとこう続けた。

「なぜそういう(揺れる)感情になるのかとか、モチベーションがなぜ上下するのかとか、メンタルのアドバイスはいただいていた。これはあっていい当然くるべき落ち込み、という自己理解を深められた。たとえば試合がなくなる。喪失という体験をしたときに人間は反発するそうです。心理学の世界では喪失に対する人間のリアクションとして当然ある。そのあとに落ち込む。そういう自己理解を深められた」

 村田の口調から悲愴感は伝わってこないが、心身ともにギリギリのところでトレーニングを続けていたのは間違いない。かつて本田会長は「なんとか春までには」と話したあとに、「たとえ相手が待ってくれたとしても、それ以上延期になったら村田がもたないよ」と話していたことを思い出す。

【次ページ】 「ファイトプランがある」村田の表情に感じた自信

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