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本気で敗退と勘違い→大喜びの「2度の涙」で藤澤五月も吹っ切れた? カーリング解説者・金村萌絵「決勝トーナメントにピークがきた」
text by
金村萌絵Moe Kanamura
photograph byAFP / JIJI PRESS
posted2022/02/18 17:02
1次リーグ最終戦でスイスに敗れ、悔し涙を流す藤澤五月と、声をかける鈴木夕湖。しかしスウェーデンが韓国に勝利したことで、準決勝進出の吉報が届いた
長く藤澤選手を見てきましたが、チームメイトに頼るのがうまくなったな、と。心から仲間を頼ることは簡単なようでじつはすごく困難で、特にスキップというポジションは弱みを見せるのが難しいんです。どんなにつらくても、「不安を与えちゃいけない」とチームメイトの前で泣くことができない人もいますから。
必要以上に強く見せようとせず、ありのままの自分で振る舞えるのが今の藤澤選手であり、それを受け入れているのがリザーブの石崎琴美選手を含めたロコ・ソラーレのメンバー。なによりチームメイトが「このスキップについていく!」「何があっても支えたい!」と思わせる素直さや誠実さ、そしてカーリングをより突き詰めようとする貪欲さを持っているのが藤澤選手の強さだと思います。
準決勝のスイス戦を「勝率60%」と予想する理由
準決勝のスイス戦ですが、勝算はかなりあるんじゃないかと見ています。あえて数字にするなら、だいたい60%くらいでしょうか。1次リーグ最終戦はスイスがよかったというよりも日本から崩れてしまった試合でしたし、ワールドチームランキングを見ても日本が現在6位、スイスが8位と実力が拮抗している相手です。なので短期間に2回戦うと、2連敗よりも1勝1敗の確率のほうが高いのではないかと……。また日本がスイスにチャレンジしていく立場というのも、結果的にいい方向に作用するのでは、と予想しています。
もちろん、簡単な戦いではありません。おそらく試合の流れは何度も傾くと思います。ひとつ投げるごとにチャンスとピンチが交互に訪れるような展開のなかで、リードからスキップまで少しでもいい位置に石を置くことで、相手がミスをする確率を上げていく。いいショットの投げ合いのなかで、なんとかチャンスをつかんでほしいです。
日本は1次リーグからすごく“いい波”を作れているように感じています。カーリングはずっと好調を維持するのが難しい競技なのですが、勝ち負けを繰り返しながら、結果的にピークを決勝トーナメントに持ってくることができた。ここにたどり着くまでに天国も地獄も味わいましたから、準決勝は平常心で臨むことができるはず。もし2大会連続のメダルをとれたら素晴らしいことですが、私たちもあまり意識しすぎることなく(笑)、全力でカーリングを楽しむ姿を最後まで見届けたいですね。
(構成/曹宇鉉)
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