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本気で敗退と勘違い→大喜びの「2度の涙」で藤澤五月も吹っ切れた? カーリング解説者・金村萌絵「決勝トーナメントにピークがきた」
posted2022/02/18 17:02
text by
金村萌絵Moe Kanamura
photograph by
AFP / JIJI PRESS
まずは2大会連続での準決勝進出を心から称えたいと思います。実力的に堅いと言われていたスイスとスウェーデン、さらに大会前の前評判が高かったイギリスが順当に上位に入るなかで、4位に食い込んだことは本当にすごいことです。あらためて1次リーグの結果を振り返ると、強豪のカナダに勝てたことが非常に大きかった。内容の面では、苦しみながらも勝ち切ったデンマーク戦とROC戦の2試合が印象的でしたね。
解説の立場としては、同時進行の試合でスウェーデンが勝てば大丈夫ということがわかっていたので、選手たちも当然それを知っているものだと思っていました。でも、スイスに敗れた後の選手たちの悔し涙、さらにその後の歓喜の涙を見ると、自力突破以外は考えていなかったようです(笑)。
もしかしたら、試合前に「負けたら次はない」くらいの話はしていたのかもしれません。そんな心境で臨んだスイス戦のはずなのに、苦しい展開になっても「これで終わりだ」という悲壮感をまったく漂わせなかったところに、あらためてロコ・ソラーレというチームの精神的な強さを感じました。
吉田知那美の“爆笑”に感じた結束の強さ
スイスに敗れはしましたが、試合中はいつものように笑顔が多くて、自分たちのミスやピンチも含めてカーリングを楽しめている印象を抱きました。サードの吉田知那美選手が試合前に「すべて出し切りたい」と話していたように、最後の試合になる可能性もあるなかで吹っ切れていたというか、持ち前のポジティブさを貫いていたように思います。
第7エンドのラストショットの直前、少しミスが続いていたスキップの藤澤五月選手が「そろそろ決めたい!」と言ったときに、吉田知那美選手が「さっちゃん、時間あるから大丈夫だよ。ゆっくり投げて」と声をかけましたよね。そこで藤澤選手が2点をとるショットを決めると、吉田知那美選手は「あはははは!」と大笑いしていた(笑)。16日のアメリカ戦でも、第7エンドに4失点して追いつかれた場面について、藤澤選手が「明るい言葉をかけてもらって救われた」と話していました。そうしたところからも、彼女たちの結束の強さがよくわかります。