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「俺を使う監督が一番大変だと思うよ」55歳三浦知良が兄ヤスへ伝えたことは? “覚悟”を持って臨む《JFL鈴鹿での最終章》 

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一志治夫

一志治夫Haruo Isshi

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photograph byMegumi Seki

posted2022/02/26 06:00

「俺を使う監督が一番大変だと思うよ」55歳三浦知良が兄ヤスへ伝えたことは? “覚悟”を持って臨む《JFL鈴鹿での最終章》<Number Web> photograph by Megumi Seki

昨シーズンは出場時間1分に終わったが、それでも「情熱が消えることは一度もなかった」と語った三浦知良。55歳で臨む新シーズンへの覚悟とは?

 3月13日の開幕戦(対ラインメール青森)に向けて、カズは着々と準備を重ねている。

 昨シーズンを終えたカズは、すぐに大阪府堺市にある「J-GREEN堺」で自主トレに入った。これまでグアムで行ってきたものだが、現地の施設が使えなくなったため、新たな場所でのスタートとなった。

 12月、1月と2回にわたって行われた自主トレでは、午前、午後にランニング、攻守の練習、筋トレ、ストレッチなどのメニューが細かく組まれ、マッサージ、アイシング、交代浴と身体のケアにも多くの時間が割かれた。元日本代表の伊野波雅彦や鈴鹿でチームメイトとなる中里崇宏、トレーナーの竹内章高らも参加。トレーニングメニューは、ワールドカップ出場を決めたセルビア代表のコーチ喜熨斗勝史が担当。食事は、阪急系のホテルに長らく勤めたあと、J-GREEN堺の宿泊施設の料理長となった杉本悟志が「栄養バランスに配慮しつつ、疲れていても食欲を促進する美味しい料理」を意識して、「チームカズ」のための特別メニューを朝昼夜、賄う。チーム一丸となって、55歳のシーズンを迎えるカズをサポートしているのだ。

「とにかく試合に出ることだよね、それしかない。このゲームで10分使ったんだから、まあ、あと4試合ぐらいは使わなくていいでしょ、となっちゃうとやっぱりダメで、うまくいかないと思う。今日10分、次30分、次はもしかしたら出ないかもしれないけど、次は先発で出る。そういう継続性がほしいし、ヤスさんのプランにはそういうことも含まれていた。

 でもまあ、チームがよくなければ、俺は活躍できないから。中心はみんなで、俺はそれについて行くだけですから。みんなが俺をひっぱっていってくれないと。俺が中心じゃダメなのよ。みんなにお膳立てしてもらわないと俺は活躍できない。こっちも頑張らないといけないけど、俺の頑張りなんてそんなに大きくないから。戦術的にみんなできっちりやっていって、それに俺がひっぱられる感じで自分の仕事をひとつひとつやっていくしかないと思ってます」

“最終章”をどう仕上げていくのか

 2022年は、17年ぶりに環境を変えたカズ最終章の始まりと言っていいだろう。この5年間で失われたものを取り戻せるかどうかの1年でもある。いずれにしても、後戻りできない崖っぷちに立っていることは間違いない。

 勝負の年に新天地で出さなければならない答えは明確だ。ゴール、それに尽きる。

 カズは最終章を果たしてどう仕上げていくのか。

「今回、レンタル移籍になったけど、自分の中では、レンタルだろうと、完全移籍だろうと何が違うんだというのがありました。どこのチームとも交渉の段階でレンタルか完全かという話は一切してない。どっちみち、どこに行っても、もう1年勝負だと思っていたから。そのクラブが求める結果、そのクラブが掲げる目標を達成できなければ終わりだろうなという気持ちでこの1年を戦おうと思っているから。

 横浜FCに対しても、戻れるかもしれないなんて図々しいことを思って辞めさせてほしいとは言ってないですから。オーナーに『違うチームに行きたい』と言ったときには、もうそれなりに覚悟して言っているわけです。自分は、その覚悟を持ってないと次の場所では戦えないですから」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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