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中国選手のメダル確定に沸く会場で…“金メダル候補”新濱立也ら困惑のフライング判定、8位村上は「少し長く、待たされる感じ」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byJIJI PRESS
posted2022/02/13 17:03
北京五輪Sスケート男子500mで起きた不可解なフライング判定。金メダル候補・新濱立也はまさかの20位に終わった
新濱は「2回目にしっかり自分のスタートを決められれば大丈夫だと思ったがミスが出た。なぜミスが出たか正直分からないが、未熟なところが出たのではないかと今は思っている。100メートルのミスだけが、きょう負けた要因」と気丈に振り返った。
平昌五輪の翌シーズンだった2019年3月のW杯最終戦男子500mで日本勢初の33秒台となる33秒83をマークし、世界のトップシーンに躍り出た。直後に滑ったパベル・クリズニコフ(ROC)が33秒61を出したため抜かれたが、一時は世界新。翌日にはさらに日本記録を0秒04縮める33秒79を出した。
新濱が”同郷の後輩”を称賛
500mと1000mを2本ずつ滑って総合点で争う世界スプリント選手権では2019年銀メダル。2020年には日本人として33年ぶりの総合優勝を飾った。2020年の世界距離別選手権男子500m3位、W杯通算7勝。金メダル候補との呼び声に偽りはなかった。
「4年前は1人で(国際大会を)戦い抜いて、その後に村上選手、松井(大和)選手が出てきて、3人で引っ張っている中に森重が上がってきた。日本男子を牽引し、日本のお家芸復活に近づいていた中で、森重が銅メダルをしっかり獲ってくれた。自分は獲れなかったが後輩が獲ってくれたので、日本男子陣としてメダルを獲れたことが良かった」
外連味のない口調で同郷の後輩である森重を称えることも忘れなかった。
「完全燃焼してオリンピックを終えたい」
取材エリアで新濱は「今朝、左足が引っかかる場面があったが、それは僕にとって良い傾向。引っかかる要因は氷すれすれのラインを通っているということなので、自分ではプラスの動きなのですが、それが(本番では)右足に出た。予想以上に深く刺してしまった」と準備段階からの流れを自分で確かめるようにも語っていた。敗因を自身の要素から見つけ出そうとする姿勢は、解明し、改善することで次のステップへ進もうという強い意志があるからこそ。
「ミスはあったが悔しさは1ミリもない。1000mでミスなく自分のレースをして楽しんで、完全燃焼してオリンピックを終えたい」
男子1000mは18日。渾身の滑りに期待したい。
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