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中国選手のメダル確定に沸く会場で…“金メダル候補”新濱立也ら困惑のフライング判定、8位村上は「少し長く、待たされる感じ」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byJIJI PRESS
posted2022/02/13 17:03
北京五輪Sスケート男子500mで起きた不可解なフライング判定。金メダル候補・新濱立也はまさかの20位に終わった
しかし、1週間前の2月5日におこなわれたタイムトライアルで全体のトップとなる34秒38を出していた新濱にとって、高が出した34秒32は十分に射程内だった。
「(高のタイムが)34秒2なら自分がベストでもきわどいと思ったが、これなら自分がベストの滑りをすれば勝てると思っていた」
アクシデントがあった場合のメンタルも想定していたことだ。
「先週のタイムトライアルのときはフライングがあってもその後しっかりスタートができていたので、不安要素はなかった」
だが、届かなかった。新濱と同走だった昨季の世界距離別選手権覇者で、今季W杯2勝のデュブルイユもフライング疑惑に巻き込まれて34秒522にとどまり、4位だった。
村上「スタートが長くてなかなか出られなかった」
この前にも疑惑のフライングがあった。新濱が出た15組の1つ前の14組は、森重航(専修大学)とビクトル・ムシュタコフ(ROC)。スターターを務めるドイツ人のステンベック・ローランド氏は、1度目のスタートで森重にフライングがあったと判定していた。再スタートのレースで森重は34秒49を出して見事に銅メダルに輝いたが、一度目のスタート映像は何度確認してもフライングには見えないものだった。
13組で滑った村上右磨(高堂建設)もスタートのタイミングに戸惑った1人だ。世界屈指のスタートダッシュを武器とする村上だが、100メートルの入りは全体の4位の9秒54。
「きょうはスタートが長くてなかなか出られなかったのが悔しかった。構えてから鳴るまでが少し長く、待たされる感じだった。フライングなのかなと思ったけど、鳴ったので出た」
タイミングが合わないスタートになってしまい、34秒57で8位。
「100メートルがもっと良ければもっと戦えていた。でも、全力を尽くすことは、できたと思う。メダルに届かなかったのは実力がもう少し足りなかった」
村上は敗戦を潔く受け止めるが、ロケットスタートが決まっていればと悔やまれるレースだった。