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平野歩夢の圧巻の滑りに「マジマッ!マジマッ!」スノボ人気薄の韓国で解説者が絶叫したワケ《なぜかソウル大卒の俳優が解説》
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byJIJI PRESS
posted2022/02/13 11:04
スノーボード男子ハーフパイプ決勝で圧巻のパフォーマンスを披露した平野歩夢
名前はパク・チェミン。年齢は38歳。そして何より驚いたのは、彼の本職は俳優だということだ。
パクは今回の北京五輪ではKBSの解説メンバーに名を連ね、スノーボードの解説を担当。実は4年前の平昌五輪でもスノーボードの解説者として登場し、快活なしゃべりとスノーボードの豊富な知識が話題となった。韓国最大ポータルサイト「NAVER(ネイバー)」で検索ワード1位になったほど。
韓国では人気がなかったスノーボードを分かりやすくお茶の間に届けたこと、さらには彼の経歴がクローズアップされ、知名度アップに拍車がかかった。
彼は俳優としてドラマやCMに出演していたものの、そこまで知名度の高い俳優ではなかったという。だが、運動神経の良さを生かし、スポーツ系のプログラムに登場。日本で言えば、永井大やケイン・コスギ、照英といった華麗なスポーツ歴を持った肉体派俳優のイメージに近いだろうか。
そんな彼が公共放送局の解説席に座るには理由がある。
かつては自身も韓国の全国冬季体育大会にソウル市の代表としてスノーボード競技に出場経験があり、学歴は国立大のソウル大学校卒、同大学院修士課程を修了するほどの文武両道。国際スキー連盟(FIS)のアルペン、ハーフパイプの国際審判の資格を取得。大韓スキー協会のスノーボード審判委員長も務めており、スノーボードや選手に明るい。
また、バスケットボールにも精通していて、韓国3×3バスケットボール連盟の理事で、大韓バスケットボール協会の審判の資格を持ち、半年前の東京五輪では3×3の解説も務めた。
これだけの経歴に加え、スポーツやアスリートへの理解とリスペクトがあるのだから抜擢は納得だ。
パリ五輪でもブレイキンで登場?
さらに驚くのは、ダンスにも詳しく、大韓ダンススポーツ連盟理事、公認審判も務める。
そのため韓国スポーツ専門サイト「SPORTS Q」は「(パク・チェミンが)今年9月に開催される杭州アジア大会と2024年パリ五輪に正式種目となった『ブレイキン(ブレイクダンス)』でも解説を務める可能性が高い」と伝えている。オリンピックの舞台で、また彼の絶叫解説が聞けるかもしれない。
韓国だけでなく、各国の中継でも平野歩夢の滑りは賞賛されていた。今大会に彼が見せた技と金メダルまでのストーリーに対する反応は、スポーツが国境を越えていける力を持っているのだと改めて感じさせてくれるものだった。
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