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ジャンプ以上の服装規定!? 失格問題に「それほど驚かなかった」…射撃日本代表監督が語る“器具を使う競技”の宿命
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byAFLO
posted2022/02/12 11:01
波紋が広がる「ジャンプ失格問題」。審査のルールや方法、公平性に疑問の声が挙がる中、ジャンプと同様、厳しい服装規定で知られる他の競技者はこの問題をどう見ているのか(写真はイメージ)
田村 射撃の審査も多少の誤差があります。審査のタイミングはもちろん、やり方も決められてはいるものの、各ジュリーによって違いますよ。長年見てきましたが、人間が審査することなので、やはり私情を100%なくすって難しいことだと思うんです。なかにはアジア勢、日本人に厳しいジュリーもいますから。そういったジュリーは、コートの硬さを検査するときに、発汗に関わらず、もともと硬い部位を確認してきたり。
一方で、日本のスタッフや選手と信頼関係があるジュリーもいるので、彼らとコミュニケーションをとりながら、傾向と対策を練ることもあります。私が東京五輪で射撃日本代表監督を務めた際も、ジュリーに関する情報収集は大切な要素のひとつでしたね。
「器具を使う競技の宿命といえるかもしれません」
――服装に関して具体的にどのように対策していたのでしょうか。
田村 特にコートですが、海外でワールドカップが開催されるときなどは、日本にいる間の準備がすべてです。所属先の監督たちとも相談し、練習中から調整しておくことが大切です。ルールギリギリのところを狙って硬さを調整しますが、失格になってしまえばおしまいですから。
――こうした規定に対して、コーチ主導、あるいは選手主導のどちらで行うのがいいのでしょうか。
田村 最終的には選手の感覚を大切にします。コートも、銃も、それを使う選手にしかわからない感覚があるので。選手が練習中に違和感を覚えたときに、コーチに相談する。そこで話し合って、改めてルールを確認した上で微調整することもある。もちろん、我々スタッフも競技前に器具の確認はしますが、最終的な決断は選手が行いますね。
ジャンプのことは、内情がわからないので申し上げることはできませんが、射撃競技では失格者は出る時は出る、というのが私の認識です。メダルを獲るために、ルールのギリギリを追求すればするほど、余裕がなくなって失格につながりやすい。この点は、多くの器具を使うスポーツ競技の宿命といえるかもしれませんね。